もしもの時に備えて──エンディングノートのススメ

イラスト:加納徳博
病気や事故・天災……もしものことがあったときのために、家族やまわりの人たちに伝えたいことを記録しておくためのノートを「エンディングノート」と呼びます。遺言相続コンサルタント、行政書士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の本田桂子(ほんだ・けいこ)さんがエンディングノートをおすすめする理由とは?

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いまや平均寿命は、男女ともに80歳を超えました。中高年になっても元気いっぱいで、とても将来の「介護」や「死」に向けた準備なんてする気になれない、という人も多いでしょう。
けれども、病気や事故は突然やってきます。もし、あなたが意識を失ったまま、自分の意思や希望を伝えられずに最期のときを迎えたら、家族はとても悲しむでしょうし、あなたも無念ではないでしょうか。
また、地震や津波などの災害も、ある日突然起こります。もし、そのとき家族のアルバムや記録をすべて失ってしまったら。あるいは、家族がバラバラになってしまい、連絡先さえわからなくなってしまったら……。事前にもっと準備しておけばよかったと、後悔するのではないでしょうか。
あなたに万が一のことがあったとき、自分の思いや希望を周りの人に伝えるとともに、家族のことや身の回りのことを記録しておくためのノート、それが「エンディングノート」です。
エンディングノートというと、高齢者が葬儀やお墓について書くものというイメージがあるかもしれませんが、決してそれだけではありません。家族がいつどこで何をしているのかというスケジュールや、子どもの習い事の連絡先など、日常生活の備忘録としても活用できます。また、これまでの人生を自分史にまとめたり、高齢期のマネープランを立てたり、自分の医療情報、介護の希望、財産をどのように分けてほしいかなど、気がかりなことをすべて書くことができるのが、エンディングノートなのです。
テキスト『NHまる得マガジン もしもの時に! 家族をつなぐ エンディングノート』では、エンディングノートの書き方とともに、最後に、自分の財産を家族にどう残したいかという希望を、「遺言書」にまとめる方法をお伝えします。
私事になりますが、母が3年前に亡くなったとき、エンディングノートと遺言書を残してくれました。子どもの頃の思い出や親友のことなど、私が知らない母の一面を知ることができただけでなく、私が相続手続きで困らないようにと遺言書を残してくれた母の思いやりに、胸がいっぱいになりました。
せっかくエンディングノートを手に入れても、なかなか筆が進まない人が多いものです。本講座が、あなたがエンディングノートを書くきっかけになればと願っています。
■『NHKまる得マガジン もしもの時に! 家族をつなぐ エンディングノート』より

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