佐藤天彦名人が「貴族」のニックネームについて思うこと
- 写真:河井邦彦
2016年12月号に登場した藤井猛(ふじい・たけし)九段が、佐藤天彦(さとう・あまひこ)名人にタイトル奪取後の心境や、あの有名なニックネームについて聞きました。
* * *
■Q/私は竜王を獲得したとき地位も名誉も収入も得て満足感がありました。現在はどんな心境ですか?
A/藤井先生と違い、私は3回目のタイトル挑戦で名人位を獲得しました。しかもその3回が短期間にありましたので、名人うんぬんよりもタイトルを獲得できたことへの安堵(あんど)感はありました。それが名人だったというのには驚いています。確かに地位も名誉も収入も得ることができてありがたいのですが、厳しい戦いがこれからたくさん待っているというのが現状です。気持ちはすでに、それをどう乗り切っていくかに向いています。タイトルホルダーとして活躍し、結果を残したいという気持ちが強いです。
■Q/「貴族」というしゃれたニックネームが有名になりましたね。ぜひ感想が聞きたいです。
A/「貴族」という響きは非現実感が強く、誰が聞いてもあだ名だと分かってくれるのでよかったのかなと思っております。いい意味でリアリティーがないので、自分としても気楽に構えられますからね。
■Q/将棋や私生活において意識している人はいますか?
A/意識している人はいませんが、強いて挙げるならモーツァルトをはじめとする作曲家、ファッションデザイナーではアン・ドゥムルメステールでしょうか。将棋で言えば、過去の大棋士の先生方です。それは棋士なら誰でも意識をするでしょう。
奨励会時代は谷川先生(浩司九段)の将棋に憧れて、よく実戦集を並べていました。勝つときも負けるときもすっきりとした棋風で、ウェットな感じを受けない清々(すがすが)しいしい将棋です。谷川先生の攻めはかなり軽い印象があり、当時の自分にはどうやって攻めがつながっているのか不思議でなりませんでした。
名人戦第4局(1図=2016年5月25、26日・第74期、対羽生善治名人=当時)は飛車を切って踏み込み、最後は相手玉を寄せ切ることができました。対局中はいける手応えがありましたが、奨励会時代の私が見たら驚いたかもしれません。いきなり飛車を切っていくわけですから、天彦少年の目には細すぎる攻めに映ったかもしれませんね。
■『NHK将棋講座』2017年1月号より
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■Q/私は竜王を獲得したとき地位も名誉も収入も得て満足感がありました。現在はどんな心境ですか?
A/藤井先生と違い、私は3回目のタイトル挑戦で名人位を獲得しました。しかもその3回が短期間にありましたので、名人うんぬんよりもタイトルを獲得できたことへの安堵(あんど)感はありました。それが名人だったというのには驚いています。確かに地位も名誉も収入も得ることができてありがたいのですが、厳しい戦いがこれからたくさん待っているというのが現状です。気持ちはすでに、それをどう乗り切っていくかに向いています。タイトルホルダーとして活躍し、結果を残したいという気持ちが強いです。
■Q/「貴族」というしゃれたニックネームが有名になりましたね。ぜひ感想が聞きたいです。
A/「貴族」という響きは非現実感が強く、誰が聞いてもあだ名だと分かってくれるのでよかったのかなと思っております。いい意味でリアリティーがないので、自分としても気楽に構えられますからね。
■Q/将棋や私生活において意識している人はいますか?
A/意識している人はいませんが、強いて挙げるならモーツァルトをはじめとする作曲家、ファッションデザイナーではアン・ドゥムルメステールでしょうか。将棋で言えば、過去の大棋士の先生方です。それは棋士なら誰でも意識をするでしょう。
奨励会時代は谷川先生(浩司九段)の将棋に憧れて、よく実戦集を並べていました。勝つときも負けるときもすっきりとした棋風で、ウェットな感じを受けない清々(すがすが)しいしい将棋です。谷川先生の攻めはかなり軽い印象があり、当時の自分にはどうやって攻めがつながっているのか不思議でなりませんでした。
名人戦第4局(1図=2016年5月25、26日・第74期、対羽生善治名人=当時)は飛車を切って踏み込み、最後は相手玉を寄せ切ることができました。対局中はいける手応えがありましたが、奨励会時代の私が見たら驚いたかもしれません。いきなり飛車を切っていくわけですから、天彦少年の目には細すぎる攻めに映ったかもしれませんね。
■『NHK将棋講座』2017年1月号より
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