食養生のポイントは何を・いつ・どのくらい食べるか

何日もお通じがなくおなかの張りや痛みに悩まされたり、下痢を起こして通勤途中にトイレに駆け込んだり。慢性的なおなかのトラブルに悩んでいる人は少なくありません。漢方の考え方によれば、その根っこは同じ。毎日の何気ない習慣からくる「冷え」が原因になっていることが多いのです。食養生のポイントを医師・医学博士の木村容子(きむら・ようこ)さんに教えていただきました。

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■地産地消で旬の食材をバランスよく食べる

今は一年中いろいろな食材が手に入り、遠い国から来る食材も食卓を楽しませてくれます。しかし、本来の季節でないものや、気候風土の違う地域から来たものの中には、日本人の体質に合わないものや、体を温めたい季節に冷やしてしまうものもあります。なるべく旬の食材を取り入れ、バランスよく食べることが大切です。
また、胃腸に負担をかける食材にも気をつけましょう。特に胃腸に負担をかける「ああ夏(なつ)か」(下記参照)は食べすぎないことです。

あ… あぶらっこいもの


あ… 甘いもの


な… なまもの


つ… 冷たいもの


か… 辛いもの




■夕食から就寝までには3時間はあける

胃に負担をかけないために気をつけたいのは、食べる時間です。特に気をつけたいのは遅い夕食です。食べ物を消化吸収しないうちに寝てしまうと、寝ている間も胃腸は働くことになります。体の一部が活動モードになっていることは安眠の妨げになり、朝すっきり起きられない、疲れが取れない、胃がもたれて食欲がない……といった不調の原因になります。夕食から就寝まで3時間以上はあけるようにしましょう。

■腹八分目で胃腸をいたわる

江戸時代の儒学者・貝原益軒(かいばら・えきけん)は、「珍味、美味の食べ物も、腹八、九分でやめなさい。十分に飽食すると、あとで災いになる」と書いています(『養生訓』)。
食べすぎが胃腸への負担、肥満や生活習慣病を招くことは想像に難くありませんが、現代の科学で、その災いの最たるものが明らかになっています。ショウジョウバエやマウスなどの生物を対象に行った実験の結果、餌をおなかいっぱいになるまで無制限に与えたときの70%まで減らすと、寿命が大幅に延長したというのです(※)。腹十分まで食べると寿命を縮めるということですね。「腹八分目」は、飽食の時代にこそ大切にすべき食養生といえます。
※参考文献/『口語 養生訓』貝原益軒 原著、松宮光伸 訳注(日本評論社) 『不老不死のサイエンス』三井洋司著(新潮新書)
■『NHK趣味どきっ! あったかボディーでリラックス カラダを整える温活術』より

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