草とともに育てる極上野菜──「緑肥」のメリット

通路にタネをまいて育てたエンバクやクリムゾンクローバーなどの緑肥をノコギリガマで刈る竹内さん。刈った緑肥は野菜を育てている畝(うね)の上に敷いて、草(くさ)マルチとして使用する。撮影/岡部留美
緑肥作物をご存じですか? 広大な畑で活用され、大きく育ったら、そのまますき込んで堆肥(たいひ)のように使うことから「緑肥」と呼ばれます。自然菜園ではすき込まず、適宜刈りながら手入れします。
緑肥はほかの草が生えてくるのを抑えつつ、益虫をふやしたり、土を豊かにしたりと大活躍。自然菜園コンサルタントの竹内孝功(たけうち・あつのり)さんが、緑肥を使った土作り、畑の豊かな環境作りをご紹介します。

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■草代わりに緑肥作物を使う

自然菜園では、自然に生えてくる草をうまく使いながら野菜を育てます。しかし、市民農園などでは、草取りが義務づけられている場合もあります。また、栽培を始めたばかりの菜園ではまだ土が十分に肥沃(ひよく)ではなく、草があまり生えないこともあります。そこで、畝の間の通路や畑の周囲で生育旺盛な緑肥作物(以下、緑肥)を育てます。

■緑肥の草マルチで土作り

緑肥の本来の用途は土作りです。広大な畑などでは、外から堆肥を持ち込む代わりに、その場で緑肥を育て、生のまますき込んでいます。
自然菜園では基本的に畑を耕さないので、緑肥は刈って畝に敷き、草マルチとして利用します。緑肥は草よりも生育旺盛なので、大量の草マルチの材料になります。草マルチは土を保湿し、温度の急激な変化を防ぎ、野菜の根の成長を助けます。畝の上で少しずつ分解して草堆肥となり、土が表面から団粒(だんりゅう)化して野菜がよく育つようになります。
コツは、イネ科とマメ科の緑肥を混植(こんしょく)して育てることです。イネ科緑肥の根が深く伸びて土を耕し、通路の土が硬くならず、畑全体の水はけも改善されます。また、マメ科緑肥に共生する根粒菌(こんりゅうきん)が土を肥沃にします。

■緑肥を育てるメリット

 
1.草マルチの材料になる
草の代わりに緑肥を刈って畝に敷くことで草マルチにできる。普通の草よりも生育が旺盛で大きくなり、使える量も多い。
2.通路が硬くならない
通路は足で踏まれ、土が硬く締まりがち。特にイネ科の緑肥の根は深く伸びるので土が耕され、畑全体の水はけがよくなる。
 
3.バンカープランツになる
害虫の天敵、益虫のすみかになって、農薬などを使用しなくても虫害が少なくなる。
 
4.畑が美しくなる
普通は裸地になる場所に緑肥がきれいに生えそろい、季節と種類によっては花が咲くので、畑の美観が増す。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2016年12月号より

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