三村智保九段が「楽に勝てる石の形」を指南!

撮影:小松士郎
10月から「囲碁フォーカス」の講師を務めるのは、棋士の三村智保(みむら・ともやす)九段です。司会は、9月までの半年間で石の感覚を身に付け大事な場所に自然に石が向かうようになった戸島花(とじま・はな)さん。これからの半年で、初段の常識として欠かせない「石の形」を学びます。たった一路の違いで攻守が入れ替わってしまうほど大切な石の形を身に付ければ、楽に勝てるようになるはずです。

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■「石の形」とは?

4月からの半年間、蘇耀国九段のもとで石の感覚を学んできた戸島花さん。石の強弱を常に意識することで、接近戦でもひるまず戦えるようになってきました。
ただ、どうしても「ここぞ」という場面で相手に主導権を与えてしまうことも多く、もう一皮むけたいところ。
「正しい『石の形』さえ身に付ければ、大会に初段で出場しても、あまり負けることはないと思います」と、10月から講師を務める三村智保九段は、戸島さんの実力向上に自信があるようだ。
戸島「石の形って何…。定石ですか? 覚えるのは苦手なんですが…」
三村「定石のように長い手順を覚えるものではありません。感覚的なものです」
戸島「よかった。感覚的なものは得意です! でも、どのようなものなのか、イメージが湧きません…」
三村「『アキ三角』という用語や『二目の頭は見ずハネよ』という格言、聞いたことありませんか?」
戸島「知っています! 悪い形のことですよね。もちろん私も、実戦では打ったり打たれたりしないように心がけています」
三村「なるほど…。それなら、本当に身に付いているか、テストしてみましょう。下の写真の盤面を見てください。ここで黒は、どのように打ちますか?」

戸島「何も考えずに、写真の▲(黒丸に白三角)に打ちます」
三村「…よく見てください。自分から『二目の頭』をタタかれていることに気が付きませんか?」

■知らずに打っている悪い形

戸島「あ、そうか…。でも、この手の何がいけないんですか?」
三村「黒は先手で補強したように見えます。しかし断点が残ったままのうえにダメヅマリのため、全く補強になっていないのです」
戸島「なるほど! 分かっているつもりが、実戦では知らずに悪い形を打ってしまっているんですね」
三村「そうなんです。例えばアキ三角は、一手一手は5目程度の損でしかありません。しかし、一局の中で何手も打ってしまうと、20目、30目と損を重ねることになるのです」
戸島「では、この講座を通して、悪い形を直していただけるんですね。楽しみ!」
三村「今回は特に打ってしまいがちな悪い形、そして効果の大きいよい形を集めました。知っているのと知らないのとでは大違いですので、しっかり学んでください」
戸島「分かりました。どんどん間違えて、きっちり身に付けます!」
効果抜群の石の形講座。これから6か月間、戸島さんと一緒に学んでいきましょう!
■『NHK囲碁講座』2016年10月号より

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