シンデレラボーイ寺山 怜四段の奮闘

左/寺山 怜四段、右/今村俊也九段 撮影:小松士郎
第63 回NHK杯 準々決勝 第3局で今村俊也(いまむら・としや)九段(白)に挑んだのは、井山裕太六冠より年下で唯一勝ち残っている寺山 怜(てらやま・れい)四段(黒)。佐藤康夫さんの観戦記から、序盤の展開を紹介する。

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■シンデレラボーイ快進撃

準々決勝戦はそろそろ頂上が見えてくるステージである。今村俊也九段は謝依旻女流本因坊、山下敬吾九段、小林覚九段を下して勝ち上がってきた。関西棋院勢の勝ち残りは結城聡九段と二人だけになった。昨年の年間成績は30勝8敗で、関西棋院勝ち星ランキング第3 位であった。
井山裕太六冠より年下で勝ち残っているのは、初出場の寺山怜四段のみである。向井千瑛五段、一力遼七段、三村智保九段に勝ち抜いた。今期NHK杯のシンデレラボーイと呼ばせてもらおう。昨年は27勝11敗で日本棋院勝ち星ランキング第16位。
解説の高尾紳路九段は「今村九段といえば日本の棋士の中で最も厚い碁と言われています。最近の若手は激しく戦う碁を打つタイプが多いのですが、寺山四段は穏やかに打つほうです。今日はじっくりした碁になるのではないか」と予想した。

■見慣れない布石

右上、白8までのあと黒9とノゾくのが最近ミニ流行している手である。白Aとツグのは利かされだから、白10と押して反発するのが自然という。
黒が11の目外しに打ったのは、白12のカカリを待って黒13と二間にヒラき、右方の白の厚みをぼかす意図である。白14のハネが今村俊也九段らしい手厚い一手。「慌てず騒がずが今村さんの特徴」と高尾紳路九段。

右下に移って、黒17の低い二間バサミ、さらに白18のツケと珍しい手が続いた。「江戸時代にこういう打ち方がありました。(黒21まで) 見慣れない布石になって楽しいですね」と高尾九段は面白がった。

黒25、27のツケ切りに白28と手厚くノビたとき、黒29のサガリが意外なれど冷静な一手だった。普通は1図、黒1、3と打ちたくなるが、白6、8から16までが想定され、隅の黒三子を取られては大きい。2図、逆のほうから黒3とオサえるのは、白4から8と△にワタられて、黒の形が体をなさない。

白32とポン抜きを得ては「今村さんは不満なしと思っているでしょうね」と高尾九段。
※投了までの記譜と観戦記はテキストに掲載しています。
■『NHK囲碁講座』2016年4月号より

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