肥料の葉面散布にはどんな効果があるの?

撮影:島田有紀子
肥料を根ではなく葉に直接与える「葉面散布」には、どのような効果があるのでしょう。広島市植物公園の島田有紀子(しまだ・ゆきこ)さんに教えてもらいました。

* * *


■葉の表裏に散布するとよい

通常、植物は土壌中の栄養分を根から吸収しますが、根が弱っているときや、すぐに肥料を効かせたいときなどには、活力剤や液体肥料を葉に散布するのが効果的です。
散布の仕方は、希釈した液体肥料をハス口をつけたジョウロ、霧吹きなどで直接葉にかけます。葉の裏側には気孔といって、蒸散時の水蒸気の放出、光合成や呼吸のための小さな穴がたくさんあるので、葉裏にもかけるとよいでしょう。古い葉よりも若い葉のほうがよく吸収しますが、若い葉ほど液体肥料が濃かった場合に濃度障害が生じやすい傾向にあります。液体肥料の濃度は、規定よりも薄めたほうが安全です。また、上から植物全体にかけても、土にこぼれた分は、根から吸収されるので無駄がありません。
チッ素、リン酸、カリの成分比は、根から施す場合と同じものを選んで結構です。

■葉面散布は点滴のようなもの

根から栄養分が吸収されると、茎を通って、植物全体に行き渡りますが、葉面散布は葉に直接栄養分をかけるので、移動に時間がかからない分、速効性があります。人が口から食べ物を摂れないときに、点滴で栄養分を補給するようなものです。肥料切れを起こしたときなどに葉面散布を行えば、特にチッ素分が速やかに吸収され、黄色くなっていた葉が早く元に戻ります。
葉面散布を行う時間帯は、水やり同様、植物の活動がこれから活発になる、朝が効果的です。朝露が残っているときは、乾くまで待ち散布します。
ただし、夏は涼しくなる夕方に散布しましょう。夏の日中、植物は暑さからくる乾燥を防ぐために、気孔を閉じています。そのため朝に散布すると、散布した肥料が日中吸収されず、気温が上昇したのちに水分が蒸発し、濃度障害を起こすおそれがあります。
■『NHK趣味の園芸』2016年3月号より

NHKテキストVIEW

NHKテキスト 趣味の園芸 2016年 03 月号 [雑誌]
『NHKテキスト 趣味の園芸 2016年 03 月号 [雑誌]』
NHK出版 / 545円(税込)
>> Amazon.co.jp

« 前のページ | 次のページ »

BOOK STANDプレミアム