終盤感覚を磨くならこの一冊!

『NHK将棋シリーズ 屋敷伸之の勝つための終盤感覚』(NHK出版)
棋力アップに役立つと好評のNHK将棋シリーズから、新たに終盤の本が刊行! エッセンスがぎっしり詰まったこの本で、あなたの終盤力を存分に高めてください。

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■終盤力アップで勝て!

将棋は玉を詰ませば勝つゲーム。よって終盤戦で相手より技術が長けていれば、勝利の可能性はグンと高くなります。
終盤力アップを図りたい方にオススメなのが、『屋敷伸之の勝つための終盤感覚』(NHK将棋シリーズ)です。
著者は、「忍者流」の異名を持ち、終盤戦での切れ味鋭い手に定評がある屋敷伸之九段。丁寧で分かりやすい解説でも人気を博しています。2013年1月から3月にかけて放送された「将棋フォーカス」講座、「屋敷伸之のバランスで勝つ! 終盤アプローチ」をもとに加筆・再構成をした単行本です。
まずは玉の詰ませ方から始まり、囲いの崩し方、そして最後は終盤の速度計算を学べる内容になっています。一手一手が激しく、流れが速い終盤戦に苦手意識を持つ方も、この本を最後までご覧いただければ、段階を踏みながら着実にステップアップをすることができます。
放送時のテキストの内容に加え、新しい内容もふんだんに盛り込みました。特に基本部分は噛かみ砕くようにして解説しました。例えば「詰めろ」、「必至」、「ゼット」という用語の意味はお分かりですか?
1図。先手が▲5三歩と打った局面です。後手玉は次に▲5二金までの詰みですね。このように、「次にあなたの玉を詰ませますよ」という手が「詰めろ」になります。

では2図はどうでしょうか。後手玉は次に▲5二金までの詰みですが、受ける術(すべ)がありません。△4一玉は▲4二金、△6一玉は▲6二金で詰みです。2図のようにどうやっても受けがない状態が「必至」になります。

3図をご覧ください。穴熊に潜っている先手玉にはどうやっても王手がかかりませんね。どんな戦力を持っていても、その瞬間は玉が絶対に詰まない状態のことを「ゼット」と言います。このように基礎から解説しています。と同時に、それぞれの状態における指し方の方針についてもきちんと説明してあるのが本書の特徴です。自玉が必至だったらどう指せばいいのでしょうか。では詰めろだったら? 用語を暗記するだけではダメで、これらを知ることによって初めて実戦に役立つのです。


■中住居の寄せ方

「囲いの崩し方」のコーナーでは、放送時には取り上げなかった「中住居(なかずまい)」も追加しました。横歩取りや相掛かりを指す方には朗報ですね。玉が中央にいるので攻めの糸口は多いですが、逆に言えば玉も上下左右に逃げやすいので注意が必要です。
4図。後手玉は銀1枚に守られています。こういうときは▲2二飛と薄いほうを狙うといいでしょう。△6一玉と逃げたら▲9四角から追えばいい。よって△4二金と受けてきますが、▲3四桂(5図)と打って金に狙いをつけるのがいいでしょう。金を取られまいと後手は△3一銀と頑張ってきますが、どう寄せればいいでしょうか。以下の詳しい解説は単行本をご覧ください。図面を豊富に使用しているので、見やすくなっています。

このような例題に多く触れることによって、敵玉を寄せる技術が飛躍的に高まります。そしてそれは、勝率アップに直結するのです。
■『NHK将棋講座』2016年2月号より

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