「金のなる木」はなぜ縁起が良いの?

撮影:田中雅也
かつては日本中の家庭で見られたものの、だんだんと姿を消しつつある縁起のよい植物。時代は変わっても、大切に育てていれば、きっとご利益があるはずです。今回は園芸界のご意見番、小笠原左衛門尉亮軒(おがさわら・さえもんのじょうりょうけん)さんが、名前の由来や育て方を紹介します。ぜひ懐かしい思いで、もう一度手元に置いてみてください。

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■金のなる木

「金のなる木」とは、ベンケイソウ科クラッスラ属オウァタ種に属する、「花月(かげつ)」、「華花月(はなかげつ)」などの俗名です。南アフリカのケープ州南部からナタール州にかけての沿岸地域が原産地で、乾燥や低温の環境にもよく適合するため、初心者でも比較的育てやすい植物の一つです。
日本に伝わったのは昭和初期といわれていますが、戦後、ある農家が新芽に5円玉を通してそのまま成長させ、枝に5円玉が実ったような状態にして金のなる木として売り出したところ、大流行しました。5円玉の穴より枝が太くなるため、わざわざ大きな5円玉のレプリカをつくって売り出したところもあったほどです。これが金のなる木と呼ばれるようになった由来とされていますが、金の産地である南アフリカ原産であるためとか、葉の形が小判に似ているため、といった諸説もあるようです。
実際手元に置いただけでお金持ちになれるかどうかはわかりませんが、思いついた方は、間違いなくお金持ちになったでしょうね(笑)。

■つまずきやすい栽培のポイント

 
Q 花が咲かないのですが、どうしたらよいでしょうか。
A 咲きやすい種類を選んで、夏、水やりを少なめに。
開花期は11〜2月ごろ。花を咲かせるにはいくつかコツがあります。
・花の咲きやすい種類を選ぶ
ひと口に金のなる木といってもいくつか種類があるため、花が咲きやすいものと咲きにくいものがあります。
花が咲きやすいものの代表が花月と華花月です。花を楽しむ場合はこの2種類を選ぶとよいでしょう。
・夏、水やりを控えめにする
花芽がつくられる8月下旬〜10月下旬に、水やりの回数を減らして乾かし気味に管理することが何よりも大切です。水やりは2週間に1回程度にし、雨にも当たらないようにします。なるべく日なたに置き、肥料は施さないようにします。また夜暗くなる場所に置くことも必要です。外灯などで夜も明るい場所を避けた戸外に置きましょう。
※テキストでは「幸福の木」「子宝草」の名前の由来と育て方も紹介しています。合わせてお楽しみください。
■『NHK趣味の園芸』2015年12月号より

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