原種シクラメン、ガーデンシクラメンの魅力

原種(C・コーム)。撮影:今井秀治
冬の園芸に欠かせないシクラメンは、室内専用の植物ではありません。園芸研究家の横山直樹(よこやま・なおき)さんが原種シクラメン2種と、ガーデンシクラメンを取り上げ、戸外で楽しむシクラメンの魅力に迫ります。

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原種シクラメンとガーデンシクラメン。その違いは見た目の印象だけではありません。耐寒性、開花期間、寿命など、それぞれの性質をよく把握してから栽培を始めましょう。

■何年も楽しめる原種シクラメン

C・コーム、C・ヘデリフォリウムの魅力は控えめで落ち着いたかわいらしさにあります。強く主張する花ではありませんが、自然な美しさを楽しむことができます。庭に植えっぱなしにできるのも大きな魅力です。耐寒性が強く、防寒の必要はありません。
開花期間は2か月程度ですが、葉のバリエーションが多く、花が咲いていない時期でも、美しい葉を楽しむことができます。園芸品種も多数ありますが、雰囲気や性質は原種と同じです。
タネをまいて開花するまでに2〜3年以上かかるため、ガーデンシクラメンよりも割高ですが、寿命が長く、大きく育つと1球で400輪以上の花を咲かせます。

■長く咲き続けるガーデンシクラメン

寒さに弱いミニシクラメンのなかから、寒さに比較的強い個体を選抜して生まれたのがガーデンシクラメンです。鉢花用のシクラメンとは違って、葉組み(※)の必要がなく、夏越しも容易です。厳寒期に葉や花、球根(塊茎)が傷みやすく、軒下で凍結させずに管理する必要があります。
はっきりとした色合いの花が多く、戸外でもよく目立ちます。株の寿命は短いものの、開花期間が長く、5〜6か月も咲き続けます。タネをまいて1年弱で開花するため、原種シクラメンよりも安価です。生産段階で高温を維持する必要がないため、ミニシクラメンよりもさらに安価です。葉のバリエーションはあまりありません。2年目以降の開花期は3〜5月になります。

■ガーデンシクラメンとミニシクラメン

ガーデンシクラメンとミニシクラメンの違いは耐寒性の有無だけですが、ガーデンシクラメンの耐寒性の定義が曖昧なため、両者の区別は難しいといえます。ひと口にガーデンシクラメンといっても、園芸品種や系統によって耐寒性が異なり、寒さでかなり傷むものもあります。現在、ガーデンシクラメンの品種改良は過渡期にあり、ミニシクラメンの珍しい花形、花色を、ガーデンシクラメンに取り込むべく努力が続けられています。耐寒性を重視するなら、赤を中心とした、濃い花色のシンプルな一重咲きを選ぶとよいでしょう。
※球根上部の成長点(芽が出る部分)に光を当て、株の中央から花が咲くようにするため、葉が重ならないように四方に広げる作業。
■『NHK趣味の園芸』2015年12月号より

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