冬こそおいしい漬物

撮影:渡辺七奈
気温が下がる冬は、漬物作りの絶好のシーズンです。テキストでは、料理研究家の杵島直美(きじま・なおみ)さんにがたくさん漬けたほうがおいしい、伝統的な本格漬けを中心に、手軽に作って、すぐに食べられる切り漬けもあわせて紹介しています。

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■保存するなら本格漬けで

「食卓にはいつも漬物があるという家で育ちましたので、今でも手作り漬物を楽しんでいます。特に冬野菜は、漬物に向くものが多いのでうれしいですね」と言う杵島さん。
塩の力で、野菜を保存するのが漬物。昔から、野菜の保存法として活用され、日本各地にいろいろな漬物があります。
「日本人が考えた、すばらしい野菜の保存方法です。一回にたくさん漬けて、少しずつ食べていく伝統的な漬け方を、私は本格漬けと呼んでいます」
何よりも長く楽しめるのが魅力です。発酵するため、徐々に酸っぱくなっていきますが、その変化が楽しめるのも自家製だから。

■本格漬けは“おもし”が大切

「塩味だけの本格漬けは、野菜に塩をまぶし、おもしをかけて漬け込みます」
最初は野菜の重さの2倍のものをのせ、できるだけ早く漬け汁を上げます。これで塩が回って、漬物の味が育ち、腐敗を防ぎます。
漬けて数日経つと、下の野菜はしんなりしてきますが、上の野菜はまだバリバリ。そこで野菜をすべて取り出し、上の野菜を下にして入れ替えます。まんべんなく塩が回っていい状態になり、おもしも均等にかかり、これで長く保存しても大丈夫。

■保存場所と食べごろ

漬け込んだら、容器のふたをして保存します。もし、おもしが容器からはみ出しているときは、紙でふたをしてひもで縛って、ほこりや虫が入らないようにします。保存場所は、家の中で一番寒い場所、ベランダや北向きのキッチンで。
「食べごろになったら、食べる分だけ取り出します。取り出すたびに、容器の中の野菜は平らにならし、押しぶたとおもしを元に戻します。漬け汁が濁ってきたら発酵が進み始めています。漬け汁に白い膜が張る、発酵臭が強い、野菜が変色、変質する前に、様子を見て早めに冷蔵庫に入れます。酸っぱくなったものは、肉と炒めたり、スープにしたり、味を補強する料理に使うなどの工夫をしながら、おいしいうちに食べきりましょう」

■すぐに食べるなら切り漬け

「もっと気軽に漬けるなら、“切り漬け”もおすすめです。野菜を切って漬けるので、翌日から3日ほどで食べられます。味が入りやすいので、塩分控えめ。あまり日もちはしないため、少量を漬けます」
塩味はもちろん、酢じょうゆ味、キムチ味などバラエティ豊富。少しずつ、いろいろな味が楽しめます。自家どれ冬野菜でいろいろな漬物を作って“漬物上手”になりましょう。
※作り方はテキストに掲載しています。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2015年12月号より

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