藤森哲也四段、初めてのNHK杯本戦出場

左/藤森哲也四段 右/甲斐智美 倉敷藤花
第65回NHK杯戦・1回戦第16局は、藤森哲也(ふじもり・てつや)四段と甲斐智美(かい・ともみ)倉敷藤花の対局。『NHK 将棋講座』2015年9月号では藤森四段が自戦記を寄せています。初めてのNHK杯本戦出場にあたっての心境と、序盤の流れについて振り返ってもらいました。

* * *


■小学6年生の思い出

「かっこいいなあ!」
小学6年生の僕はうれしい気持ちでいっぱいだった。夏休みに当時司会だった母(藤森奈津子)に連れられ、NHK杯をスタジオで見学させてもらったのだ。
その日解説の森内先生にNHK杯選手権者の扇子をいただいた。思い出に残る一日になった。その夏の終わりに、僕は奨励会に入会した。
それから16年。自分は対局者としてスタジオにいる。僕は気持ちを込めて、初手▲2六歩と飛車先の歩を伸ばした。あれからどれだけ成長できただろうか。


■向かい飛車に

甲斐さんとは今までにたくさん将棋を指している。奨励会のころは本格的な居飛車党だったが、現在は振り飛車も指しこなすオールラウンダーだ。丁寧で落ち着いており、ブレが少ない将棋が特徴だ。性格も温和で、いつも優しく接してくれる。戦型は甲斐さんの向かい飛車に。どちらかというと相居飛車を予想していたので意外だった。
本戦に出場することになり、解説が師匠の塚田泰明に決まったときはとてもうれしかった。きょうは自分も師匠のような華やかな将棋を指そうと思った。


■インタビュー

収録前に司会の清水さんから近況を聞かれた。僕は奨励会初段のときから清水さんと同じ研究会に参加し、将棋への姿勢も勉強させていただいた。初めてのインタビューだったが、清水さんからの質問だったので、リラックスして答えられたと思う。△5四歩(3図)に代えて△2五歩▲同飛△2四金▲2八飛△2五金なら▲3五歩で戦える。4図となり、先手は一歩を取らせる代わりに、穴熊に囲うことができた。このあたりで自分の力が発揮できる展開になってきたと感じていた。

※投了までの棋譜を含む自戦記はテキストに掲載しています。
■『NHK将棋講座』2015年9月号より

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