佐藤天彦八段、指導を受ける側に
ふだんはプロ棋士として指導する立場の佐藤天彦(さとう・あまひこ)八段。今回は元日本代表のサッカー選手に指導を受ける側に立ちました。変則的なルールで行われたフットサルの結果は?
* * *
サッカーのチャンピオンズリーグ決勝、バルセロナVSユベントス戦の日。放送は深夜でしたが、僕は録画して起きてから観(み)ました。序、中盤はバルセロナ優勢で進みましたが、終盤はユベントスも盛り返し、先の見えないエキサイティングな展開に。最後はバルセロナが勝ちましたが、面白い試合でした。
さて、実はこの日は渡辺明棋王が主宰するフットサルがありました。試合を見終わった後の余韻が残る中、家を出ます。到着してから、今回は元日本代表のサッカー選手である小村徳男さんと波戸康広さんがいらしているのを知りました。
以前、波戸さんにお会いしたとき「フットサルやりましょう!」と言ってくださっていたのですが、まさか本当に来ていただけるとは。
お二人は本当に熱心な将棋ファンで、波戸さんの将棋ウォーズの対戦成績を見せてもらいましたが、その対局数はなんと3〜4000局。その情熱には頭が下がる思いです。モバイル中継もチェックされており、僕の直近の中継された対局についても声をかけていただきました。
負けた将棋でしたが、中継の一局一局まで観てもらえているのがとてもうれしいことなんです。それに、波戸さんがかけてくれる言葉は爽やかでありながら気持ちがこもっていました。
さて、試合では、渡辺さんいわく「講師の先生」であるお二人は1ゴールにつき0.5点とカウントすることに。
プロ棋士としてふだんは指導をする側ですが、今回は受ける側です。駒落ちの手合いで換算すると何枚落ちかわからないくらいの力の差。本来ならもっと講師陣の点の価値が低くないとおかしいところですが、この差をつけるルールによって普通はない兼ね合いが生じました。
たとえば、お二人が点を決められそうな場面でも、他の人にパスしてその人が確実に決められそうなら、そちらも有力な選択肢になってきます。
波戸さんと同じチームになったときのこと。1点差を追っている試合終了直前、波戸さんが見事なゴール! その瞬間は「やった、同点だ!」と心の中で快哉(かいさい)を叫びましたが、よく考えたら0・5点では追いつけません。あえなく負けとなり、ぬか喜びに終わってしまいました。
この試合も含め、波戸さんと同じチームで何試合か戦いました。本当なら力いっぱい動き回りたかったのですが、この日は少し早めに目が覚めてしまい寝足りなかったのと、ふだんからの運動不足がたたったのか、体が全然動きません。それでも、明るく引っ張ってくれる波戸さんと一緒にプレーするのは楽しく、やっているうちに元気が出てきました。「今日のバルセロナみたいにやりましょう! 幅を持って、相手の前の中央は厚く!」観るサッカーファンとしてイメージは持つことができても、実際にプレーに還元はできないんですよね(笑)。
観て、プレーして楽しんだサッカーとフットサルの一日。次はもっと動けるように、体調を整えて臨みたいと思います!
■『NHK将棋講座』2015年9月号より
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サッカーのチャンピオンズリーグ決勝、バルセロナVSユベントス戦の日。放送は深夜でしたが、僕は録画して起きてから観(み)ました。序、中盤はバルセロナ優勢で進みましたが、終盤はユベントスも盛り返し、先の見えないエキサイティングな展開に。最後はバルセロナが勝ちましたが、面白い試合でした。
さて、実はこの日は渡辺明棋王が主宰するフットサルがありました。試合を見終わった後の余韻が残る中、家を出ます。到着してから、今回は元日本代表のサッカー選手である小村徳男さんと波戸康広さんがいらしているのを知りました。
以前、波戸さんにお会いしたとき「フットサルやりましょう!」と言ってくださっていたのですが、まさか本当に来ていただけるとは。
お二人は本当に熱心な将棋ファンで、波戸さんの将棋ウォーズの対戦成績を見せてもらいましたが、その対局数はなんと3〜4000局。その情熱には頭が下がる思いです。モバイル中継もチェックされており、僕の直近の中継された対局についても声をかけていただきました。
負けた将棋でしたが、中継の一局一局まで観てもらえているのがとてもうれしいことなんです。それに、波戸さんがかけてくれる言葉は爽やかでありながら気持ちがこもっていました。
さて、試合では、渡辺さんいわく「講師の先生」であるお二人は1ゴールにつき0.5点とカウントすることに。
プロ棋士としてふだんは指導をする側ですが、今回は受ける側です。駒落ちの手合いで換算すると何枚落ちかわからないくらいの力の差。本来ならもっと講師陣の点の価値が低くないとおかしいところですが、この差をつけるルールによって普通はない兼ね合いが生じました。
たとえば、お二人が点を決められそうな場面でも、他の人にパスしてその人が確実に決められそうなら、そちらも有力な選択肢になってきます。
波戸さんと同じチームになったときのこと。1点差を追っている試合終了直前、波戸さんが見事なゴール! その瞬間は「やった、同点だ!」と心の中で快哉(かいさい)を叫びましたが、よく考えたら0・5点では追いつけません。あえなく負けとなり、ぬか喜びに終わってしまいました。
この試合も含め、波戸さんと同じチームで何試合か戦いました。本当なら力いっぱい動き回りたかったのですが、この日は少し早めに目が覚めてしまい寝足りなかったのと、ふだんからの運動不足がたたったのか、体が全然動きません。それでも、明るく引っ張ってくれる波戸さんと一緒にプレーするのは楽しく、やっているうちに元気が出てきました。「今日のバルセロナみたいにやりましょう! 幅を持って、相手の前の中央は厚く!」観るサッカーファンとしてイメージは持つことができても、実際にプレーに還元はできないんですよね(笑)。
観て、プレーして楽しんだサッカーとフットサルの一日。次はもっと動けるように、体調を整えて臨みたいと思います!
■『NHK将棋講座』2015年9月号より
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