グランドスラム? 世界ランキング? テニスプロ大会の仕組み

錦織圭選手の活躍で、グランドスラム(全豪オープン、全仏オープン、全米オープン、全英オープンの4大大会)以外の、プロ選手がシーズンを通して戦っている試合がかなり身近になりました。プロ大会の厳しい仕組みを、元プロテニスプレーヤーで、現在はワールドジュニア日本女子代表監督を務める神尾 米(かみお・よね)さんに解説してもらいました。

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■世界ランキングって?

プロ選手が参加しているツアー大会は、グランドスラムと下位大会をITF(国際テニス連盟)、その他男子をATP(男子プロテニス協会)、女子をWTA(女子プロテニス協会)という団体が運営しています。男子も女子も、大会に出場し、そこで勝利した分のポイントを得て、貯まったポイントの順でランキングが決まります。
どんなトップ選手でも、男子なら最初は最下位のフューチャーズ大会から出場します。ここで本戦1回戦を勝ち上がって初めてポイント(数ポイント)がつきます。次のレベルの大会に出場するためには、ポイントを貯めてランキングを上げなければいけません。男子の場合だと、フューチャーズ大会で優勝できるようになるのは300位前後で、それは次のチャレンジャー大会にようやく本戦出場できるくらいのレベルです。チャレンジャー大会の優勝者は100〜150位くらい。チャレンジャーで優勝に絡むようになってようやくATP大会にチャレンジできるランクになります。
大会のレベルによって得られるポイントが違うため、下位大会で優勝できるようになったら、同時に次のレベルの大会にチャレンジする必要があります。次のレベルの大会はまた1回戦負けもあり得る厳しい環境です。しかしいつまでも下位大会ばかりに出ていてはわずかなポイントしか稼げません。ランクアップするためには、常に自分が最下位になり得る次のレベルの大会にチャレンジを続け、そこでの上位を目指さなければいけないのです。
常にチャレンジが求められるため、プロテニスはほかの種目と比べて「負ける比率が非常に高いスポーツ」だといわれています。

■プロ選手の遠征と前哨戦

ATPに加盟しているプロ選手は、1月のツアーのスタートから11 月のツアー終盤まで、毎週、世界各地で行われるトーナメント大会を転戦して、ポイントを獲得していきます。だいたい1か月程度を遠征期間として、最終週にメインの大会を予定し、それまでの週は少しランクが下の大会を回り、調子を上げていきます。そのためグランドスラムの直前には「前哨戦」といって、少しランクの低い大会が毎週行われます。それと関連して、大会のコートサーフェスにも季節があります。毎年1〜3月にはオーストラリアやアメリカなどでハードコートの大会が行われ、4月からはヨーロッパでクレーコートの大会。6〜7月は芝の大会、ウィンブルドン後は、アメリカでのハードコートの大会へと移動します。
■『NHK趣味どきっ! 現代テニスで再デビュー ラク楽“エース”を決めよう』より

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