ソポクレスの数少ない“二位”の作品『オイディプス王』

アテネ・アクロポリスの南麓にあるディオニュソス劇場。オルケーストラはもとは円形だったが、後代に相当の改変を受けている
ギリシア悲劇の傑作として今も読み継がれる『オイディプス王』。作者のソポクレスがどのような人物であったのか、作家・法政大学教授の島田雅彦(しまだ・まさひこ)氏はこのように解説する。

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『オイディプス王』は、紀元前430年頃、劇作家のソポクレスによって戯曲形式で書かれました。古代ギリシアの都市国家アテナイでは、毎年春、酒神ディオニュソスに捧げる儀式である「大ディオニュシア祭」が開かれており、コンテスト形式で悲劇(のちに喜劇も)が上演されていました。これはオリンポス信仰をギリシア全域で共有するための儀式でした。すでに前776年にはオリンピア競技会がおこなわれていましたが、これと同様の目的に基づいていました。
『オイディプス王』は当初から高い評価を得ながらも、コンクールでは二位に甘んじたといういわくを持つ作品です。
ちなみに作者ソポクレスについてわかることは、前496年頃にアテナイ近郊の騎士階級の家に生まれ、はじめ役者を志すものの劇作家に転身して、27歳でコンテストに初めて参加しアイスキュロスを破って優勝。以来最晩年に至るまで、優勝回数24回を数え(18回、20回との説もあります)、一度も二位を下ることはなく、90歳で亡くなるまで百二十三篇の作品(完全に残っているのは七作品)を著した、というものです。
■『NHK100分de名著 ソポクレス オイディプス王』より

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ソポクレス『オイディプス王』 2015年6月 (100分 de 名著)
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