果実が小さい、甘みが足りない……そんな悩みも“摘果”で解決

ブドウの場合、果粒がたくさんついて1つの房になります。房を間引くことを摘房(てきぼう)、果粒を間引くことを摘粒(てきりゅう)といいます。‘巨峰’のような大粒品種は1枝に1房残し、1房を40粒程度に間引きます。‘デラウェア’のような小粒品種は1枝に2房残します(摘粒は基本的に不要)。イラスト:楢崎義信
摘果とは、まだ小さい状態の果実を間引いて結実数を減らすことです。もったいないようにも見えますが、大きなメリットがあります。千葉大学環境健康フィールド科学センターの三輪正幸(みわ・まさゆき)さんに教えてもらいました。

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一つは、摘果することで、行き渡る養分の量がふえて残った果実が大きくなり、甘さも増すことです。
また、すべての果実をならせてしまうと「なり年」と「不なり年」が繰り返されます(隔年結果)が、摘果することで毎年のように収穫を楽しむことができます。

■摘果の基礎知識

Q 摘果の適期は?
A 生理落果が落ち着いたら。
開花後に受粉・受精した花の多くは果実へと成長します。その後、養分競合やホルモンバランスなどの影響で、いくつかの果実が自然に落ちます(生理落果)。あまり早くから摘果をすると、その後に落果して収穫数が減ってしまうので、生理落果が落ち着いてから摘果しましょう。生理落果が落ち着く時期は、果樹によって異なります。
Q どのくらい間引いたらいいの?
A 葉果比を目安にします。
摘果の目安となるのが葉の数です。光合成によって葉でつくられた糖が果実に移動して果物は大きく甘くなります。果実1個を成長させるのに必要な葉の枚数(葉果比〈ようかひ〉)は、果樹によっておおよそ決まっています。例えば、葉果比が40のリンゴは、1果を成長させるのに葉が40枚必要なので、葉が400枚ある木なら、10果残してほかの果実は間引きます。
■『NHK趣味の園芸』2015年6月号より

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