ウツギの枝はなぜ空洞なの?

撮影:筒井雅之
サクラ、ユキヤナギ、ハナミズキなどの春の花木の開花が一段落し、サルスベリなどの夏の花はまだこれからという端境期、6月。やや花が少なめな落ち着いた季節だからこそ、身近に咲くウツギの花に注目してみませんか? 樹木栽培家の上条祐一郎(かみじょう・ゆういちろう)さんが解説します。

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■空洞な枝をもつウツギの仲間

ウツギは、枝の中心が空洞である特徴から、「空(うつ)ろな木=空木」と名がつけられたとされています。また、旧暦の4月(卯月)に咲くことから、卯木(うのき)と呼ばれるようになったという説もあります。敷地の境界木として植えられるなど、古くから私たちの生活に親しまれてきたからか、名前に「ウツギ」とつく植物はいくつもあります。どれも枝が中空という特徴から名づけられたと思われます。

■空洞の理由は、賢い戦略

実際に枝を切ってみると、芯は空洞だったり、ウレタン状にスカスカしています。植物学的に見ると、このような中空な枝は、少ない材料で枝をつくるための知恵だといわれます。芯まで詰まっているものに比べて枝が軽く、自身の重さを支えるために枝を太くする必要がありません。根から吸い上げた水や、葉でつくった栄養を、枝を長く伸ばすことに集中させることができるのです。
このようなウツギの仲間は、長く伸びる枝にたくさんの花をつけ、花色も白やピンクなどのバリエーションがあり、さらに美しいカラーリーフもあります。
■『NHK趣味の園芸』2015年6月号より

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