ビクトリア朝時代から愛されるセンテッド・ゼラニウム

花壇で旺盛に咲く‘ピンク・カピタツム’(P.‘Pink Capitatum’)。右上はシマススキ、右下はベルゲニア。撮影:牧 稔人
イギリスのビクトリア朝時代。貴婦人のドレスが葉に触れると芳香が漂うように室内に置かれていたというセンテッド・ゼラニウム。現代の日本でも、もっと楽しんでみたいと思いませんか。広島市植物公園の島田有紀子(しまだ・ゆきこ)さんが、その魅力を紹介します。

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一般に「ゼラニウム」と呼ばれる植物は、フウロソウ科ペラルゴニウム属の園芸品種群「ゾナレ・グループ(P. Zonal Group)」を指します。では、なぜ「ゼラニウム」と呼ばれるのかというと、ペラルゴニウム属は1787年に新しくできた属で、それより古い時代には、これらがゲラニウム属(Geranium)に分類されていた名残だからです。
通称ゼラニウムには「フィッシュ・ゼラニウム」の英語名があるように、葉に特有の匂いがあって、人によっては敬遠されることもあるようです。しかし、今回取り上げるセンテッド・ゼラニウムは、文字どおり「香りのゼラニウム」で、その葉には、1回触れたら数時間も消えないほどの強く爽やかな香りがあります。常緑性のため、芳しい香りは一年中楽しむことができます。誌面で香りを体感してもらえないのが残念ですが、バラの香りをはじめ、レモン、オレンジ、ストロベリー、ミント、ナツメグなど、香りの傾向や種類もとても多彩で、知れば知るほど奥深い植物なのです。
■『NHK趣味の園芸』2015年4月号より

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