茶の湯の基本——席中でのふるまい

挨拶をするときは、扇子を膝前に置く 撮影:竹前朗
茶事を行う亭主は、誰を招くか決まったら案内を出し、道具組みや料理の献立を考え、綿密に準備を重ねます。客のほうも、亭主の心尽くしを思いやり、相応の心構えで臨まねばなりません。本稿では招かれた場合の基本的なふるまい方を、武者小路千家 第14代家元 千宗守(せん・そうしゅ)さんに教えてもらいます。

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茶事や茶会は、大切な道具を使い、心を込めて行われるもの。招かれた客は何よりまず、茶室を汚したり、道具を傷めたりしないように注意しなければなりません。腕時計やアクセサリーなどは外し、足袋をきれいなものに替え、 出(だ)し帛紗(ぶくさ)や懐紙(かいし)などは懐中して大きな荷物を持ち込まないようにします。
歩くときは、畳の縁(へり)や合わせ目、敷居を踏まないように心掛けます。
扇子(せんす)は手に持つのが基本です。挨拶をしたり、床や点前座(てまえざ)を拝見したりするときは、体の正面に一文字に置きます。これは結界としての意味があります。客座(きゃくざ)に着いたら、畳の縁から手のひらひとつ分ほどの位置に正座し、扇子を体の右脇にまっすぐ置きます。畳の縁と膝の間が自分の範囲となり、道具を拝見するときなどは、このスペースに取り込んで扱います。
■『NHK趣味Do楽 茶の湯 武者小路千家 春の茶事を楽しむ』より

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