佐藤天彦七段、憧れのあの人と初対面!
ファッションにこだわりのある佐藤天彦(さとう・あまひこ)七段。最近、念願叶って憧れの人に会うことができたとか。
* * *
先日、僕の愛するブランドであるアン ドゥムルメステールから本が出され、お店の方からその出版記念イベントへのお誘いが。今回はなんとアン ドゥムルメステール本人(以下アン)が来日するというのです!
アンは飛行機が苦手らしく、この来日も8年ぶり。会えるとすれば、このパーティーがきっと最初で最後の機会となるはず…。万難を排して行かなければ! そうと決まれば、迷うのはやはり何を着ていくかです。自分が初めてアンで買い物をした、大好きな09秋冬のコレクションである程度固めようか。いや、できるだけいろいろな年のアイテムを着ていったほうが、長い間たくさんの服を買っていることがわかって愛が伝わりやすいんじゃないか…。でもでも、やっぱり09秋冬のアイテムを中心にしたほうが自分の好みや思いを示すという意味では…。迷った末の結論は、「09秋冬を中心にいろいろな年のアイテムを組み合わせる」ということに。
当日のイベントはサイン会から。まず本を買って、次にサインの列に並びます。その列の先にアンがいました。どうしよう、これは本当に会えてしまう。どうなってしまうんだろう…。そしてついに目の前にアンその人が。とてもすてきな雰囲気をお持ちの方で、ご自身でデザインされた服や帽子が良くお似合いです。青く澄んだ瞳と、長くくっきりと引かれた黒いアイラインも印象的。このアイラインは瞳の色との対比が美しいだけでなく、彼女の気高さや意志の強さをも示しているのではないかと感じました。サインも筆記体の美しい文字です。
僕は英語が話せないのでひと言だけ挨拶をしてから握手(うれしい!)をしてもらい、一緒に写真をお願いしました。このとき写ってくれたアンがまたすてきな良い笑顔で…。
そんなアンとファンの集いであるパーティーはとても雰囲気の良いもの。お店で一緒になるお客さんもいて、雑談に花が咲きました。「なに着ていくか迷いましたよね?」「あ、その帽子13秋冬のですか!? お似合いですね〜」「あ、ありがとうございます。このブローチは09秋冬のやつで、似たようなのいっぱい持ってるんですよ〜」…。ふだんは話せないことをたくさん語りました。同好の士に乾杯!
豊かな人間性や魅力を持ち、その美意識や価値観を服にしっかりと落とし込む。それは大変なことだと思いますが、長い積み重ねの末に彼女は実現し、それに共感した人たちがこうして集まってくる。本当にすばらしいことで、僕もいつかはそういう人になりたいという憧れもあり、大いに刺激を受けました。
帰るとき、なじみの店員さんに「もう次はないでしょうから、この先60年、この思い出を胸に生きていきます」と言ったら、「あと60年も生きるつもりなんですか?(笑)」。確かに…。今朝もパーティーの夢で目が覚めた気がします。しばらく、この一夜の余韻に浸りながら過ごすことになりそうです。
■『NHK将棋講座』2015年2月号より
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先日、僕の愛するブランドであるアン ドゥムルメステールから本が出され、お店の方からその出版記念イベントへのお誘いが。今回はなんとアン ドゥムルメステール本人(以下アン)が来日するというのです!
アンは飛行機が苦手らしく、この来日も8年ぶり。会えるとすれば、このパーティーがきっと最初で最後の機会となるはず…。万難を排して行かなければ! そうと決まれば、迷うのはやはり何を着ていくかです。自分が初めてアンで買い物をした、大好きな09秋冬のコレクションである程度固めようか。いや、できるだけいろいろな年のアイテムを着ていったほうが、長い間たくさんの服を買っていることがわかって愛が伝わりやすいんじゃないか…。でもでも、やっぱり09秋冬のアイテムを中心にしたほうが自分の好みや思いを示すという意味では…。迷った末の結論は、「09秋冬を中心にいろいろな年のアイテムを組み合わせる」ということに。
当日のイベントはサイン会から。まず本を買って、次にサインの列に並びます。その列の先にアンがいました。どうしよう、これは本当に会えてしまう。どうなってしまうんだろう…。そしてついに目の前にアンその人が。とてもすてきな雰囲気をお持ちの方で、ご自身でデザインされた服や帽子が良くお似合いです。青く澄んだ瞳と、長くくっきりと引かれた黒いアイラインも印象的。このアイラインは瞳の色との対比が美しいだけでなく、彼女の気高さや意志の強さをも示しているのではないかと感じました。サインも筆記体の美しい文字です。
僕は英語が話せないのでひと言だけ挨拶をしてから握手(うれしい!)をしてもらい、一緒に写真をお願いしました。このとき写ってくれたアンがまたすてきな良い笑顔で…。
そんなアンとファンの集いであるパーティーはとても雰囲気の良いもの。お店で一緒になるお客さんもいて、雑談に花が咲きました。「なに着ていくか迷いましたよね?」「あ、その帽子13秋冬のですか!? お似合いですね〜」「あ、ありがとうございます。このブローチは09秋冬のやつで、似たようなのいっぱい持ってるんですよ〜」…。ふだんは話せないことをたくさん語りました。同好の士に乾杯!
豊かな人間性や魅力を持ち、その美意識や価値観を服にしっかりと落とし込む。それは大変なことだと思いますが、長い積み重ねの末に彼女は実現し、それに共感した人たちがこうして集まってくる。本当にすばらしいことで、僕もいつかはそういう人になりたいという憧れもあり、大いに刺激を受けました。
帰るとき、なじみの店員さんに「もう次はないでしょうから、この先60年、この思い出を胸に生きていきます」と言ったら、「あと60年も生きるつもりなんですか?(笑)」。確かに…。今朝もパーティーの夢で目が覚めた気がします。しばらく、この一夜の余韻に浸りながら過ごすことになりそうです。
■『NHK将棋講座』2015年2月号より
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