精進料理で「にんにく」を使ってはいけない理由
- イラスト:雉○
精進料理では、使ってはいけない食材が大きく分けて2種類あるといいます。曹洞宗八屋山普門寺 副住職の吉村昇洋(よしむら・しょうよう)さんと、浄土真宗東本願寺派緑泉寺住職の青江覚峰(あおえ・かくほう)さんにお話を聞きました。
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1つは、五葷(ごくん)と呼ばれるネギ科ネギ属などの野菜。もう1つは、肉、魚介類、卵などの動物性の食材です。
五葷はいわゆる精のつく野菜。性欲を刺激するものは仏道修行に必要ないため、とりません。また、これらの食材のきついにおいも、修行の妨げになります。
何を五葷とするかは、時代や地域によって異なります。例えば現在の曹洞宗永平寺の決まりでは、にんにく、ねぎ、にら、玉ねぎ、らっきょうが五葷です。古くははじかみ(山椒〈さんしょう〉や生姜の古語)が含まれる場合もありましたが、これらは現在の永平寺では使われています。また、国や地域によってはパクチーが禁止されていることも。いつでもどこでも必ず含まれるのはにんにくです。
動物性の食材は、仏教の教えである不殺生(生き物の命を奪わないこと)に反するため、禁忌とされます。ただ、古代のインドの仏教にまでさかのぼってみると、すべての肉食が禁止されているわけではありませんでした。例えば、三種の浄肉といって、自分のために殺すのを見た肉、自分のために殺したのだと聞いた肉、自分のために殺した疑いのある(と知った)肉、これらに当てはまらない肉であれば、食べてもよいとされていました。例えば、お布施として余りものを施してもらう場合などです。また、最古の仏典の1つである「スッタ・ニパータ」には、肉食そのものが生臭いのではない、肉食に至るまでの気持ち、すなわち殺したい、欲望に溺れたい、美味をむさぼりたいといった欲こそが生臭いのだ、と書かれています。肉食については、時代が下り、仏教がインドから各地に広がるにつれ、禁忌として厳格化されていったものと考えられています。
食べられるものに制限がある中でも、与えられた食材をありがたくいただき、その食べ物で自分が生かされていることに気付き、感謝する。それが、食材を受け入れるうえで最も大切なことだといえるでしょう。
■『NHK趣味Do楽 いただきます お寺のごはん 〜心と体が潤うレシピ〜』
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1つは、五葷(ごくん)と呼ばれるネギ科ネギ属などの野菜。もう1つは、肉、魚介類、卵などの動物性の食材です。
五葷はいわゆる精のつく野菜。性欲を刺激するものは仏道修行に必要ないため、とりません。また、これらの食材のきついにおいも、修行の妨げになります。
何を五葷とするかは、時代や地域によって異なります。例えば現在の曹洞宗永平寺の決まりでは、にんにく、ねぎ、にら、玉ねぎ、らっきょうが五葷です。古くははじかみ(山椒〈さんしょう〉や生姜の古語)が含まれる場合もありましたが、これらは現在の永平寺では使われています。また、国や地域によってはパクチーが禁止されていることも。いつでもどこでも必ず含まれるのはにんにくです。
動物性の食材は、仏教の教えである不殺生(生き物の命を奪わないこと)に反するため、禁忌とされます。ただ、古代のインドの仏教にまでさかのぼってみると、すべての肉食が禁止されているわけではありませんでした。例えば、三種の浄肉といって、自分のために殺すのを見た肉、自分のために殺したのだと聞いた肉、自分のために殺した疑いのある(と知った)肉、これらに当てはまらない肉であれば、食べてもよいとされていました。例えば、お布施として余りものを施してもらう場合などです。また、最古の仏典の1つである「スッタ・ニパータ」には、肉食そのものが生臭いのではない、肉食に至るまでの気持ち、すなわち殺したい、欲望に溺れたい、美味をむさぼりたいといった欲こそが生臭いのだ、と書かれています。肉食については、時代が下り、仏教がインドから各地に広がるにつれ、禁忌として厳格化されていったものと考えられています。
食べられるものに制限がある中でも、与えられた食材をありがたくいただき、その食べ物で自分が生かされていることに気付き、感謝する。それが、食材を受け入れるうえで最も大切なことだといえるでしょう。
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