住みたくない街から住みたい街へ あの池袋が変わった理由
- 『埼玉化する日本 (イースト新書)』
- 中沢明子
- イースト・プレス
- 930円(税込)
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ここに来て俄然、注目度が上がっている街、東京・池袋。不動産情報会社のホームズが行った「2014年上半期 全国住みたい街ランキング(関東エリア編)」ではなんと堂々の首位。また、リクルート住まいカンパニーの「住みたい街ランキング2014」では関東枠で、1位の吉祥寺、2位の恵比寿に続いて第3位と健闘。13年は13位だったことを考えると、この1年で躍進を遂げたと言えるでしょう。
池袋駅は、13年に東京メトロ副都心線と東横線が相互乗り入れをしたことで、横浜方面からのアクセスも改善。池袋生まれ池袋育ちの髙野之夫豊島区長が、ファミリー向け物件と保育園・幼稚園を増やし、住みやすい街づくりを推進していることも、住みたい街として人気が高まっていることと関係しているようです。
その他の理由として、「ショッピングビルの充実化」もあると、書籍『埼玉化する日本』の著者・中沢明子さんは分析します。
池袋駅近くには以前から、西武百貨店、東武百貨店、パルコがあり、どれも"雨に濡れず"に行くことが可能した。さらに、09年に東武百貨店の隣にエソラ池袋、10年にルミネ池袋もオープンしました。特にルミネは立地条件だけでなく、「高感度消費志向の人が『買ってもいいな』と思うモノ、マス消費志向の人が『おしゃれ!』と思うモノ、富裕層でなくても買える価格帯のモノ」(同書より)を取り揃えるなど、池袋の魅力を高めるのに大きく貢献しているようです。
「郊外のイオンでは買えない、かといって、とびきり尖ってもいない、ちょうどいい商品がたくさん陳列されている。こうしたちょうどいい消費の殿堂が加わったこと、埼玉どころか神奈川からも乗り継ぎなしで来られるようになったこと。すこぶる便利な二十三区内のターミナル駅なのに、渋谷や新宿などと比較して、徒歩圏内に無理せず住める、ちょうどいい家賃の賃貸や価格の分譲マンションが多い」――中沢さんは、このように複合的な観点から、池袋が住みやすい街になった理由を挙げていきます。
コンパクトに何でもひと駅に揃っていて、かつ高所得者でなくても住むことが可能なのが今の池袋の姿。こういった池袋の魅力が徐々に浸透し、多くの人が住みたいと思い始めているのでしょう。2015年は、池袋に次ぐ、新しい人気の街が登場するのでしょうか。