まるで平安の「通い婚」? 不倫女子が明かす実態

不倫女子のリアル (小学館新書)
『不倫女子のリアル (小学館新書)』
沢木 文
小学館
799円(税込)
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 今年の「ユーキャン新語・流行語大賞」30語にノミネートされた「ゲス不倫」。今年1月に人気バンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音さんと、タレント・ベッキーさんとの不倫がスクープされたのを皮切りに、今年は芸能人から政治家まで様々な著名人の不倫問題が世間を賑わせました。猛バッシングにさらされた人も続出するなど、まさに"不倫"旋風が吹き荒れた1年だったと言えるのではないでしょうか。

 本書『不倫女子のリアル』は、そんな不倫中の女性の実態に迫った1冊です。

 著者の沢木文さんは、近著『貧困女子のリアル』(小学館刊)でも耳目を集めたライター・編集者。本書では不倫中の30~40代の女性にインタビューを実施し、社会のルールを踏み外すことをものともせず、自身の欲望に忠実に生き、性を謳歌する女性たちの姿を描いています。

 中でも興味深いのが、第2章の<ケース5 今の不倫は平安時代の「通い婚」>で描かれた女性。

 年収1000万円のシングルマザーである女性は、既婚男性との間に1児を儲け、自分の母親に育児をサポートしてもらいながら、親子3世代で都内の高級マンションで暮らす日々。

 「平安時代みたいですよね。男は妊娠させるだけであとは女側の実家がバックアップするという。これって理想的なんじゃないかと思うぐらい幸せです」(本書より)

 経済的にも自立し、育児の人手にも困らず、パートナーの男性とは月に1回デートする生活を平安時代の母系社会に例え、今の生活に満足していると言います。

「お金があり、母もいるのに、今さら別の男と生活しようなんて思いません」(本書より)

 沢木さんは、不倫が増加している背景について、女性の社会進出につれて"結婚して家庭を守るのが女の幸せ""不倫=日陰の身"といった価値観が変貌したこと、特に近年ではバリバリ働く女性が不倫関係の主導権を握る事例が増えていることを挙げ、経済的に自立した堅実な女性こそ、不倫に走りがちだと指摘しています。

 豊富な事例のほかにも、不倫案件を数多く手掛ける弁護士に取材し、不倫が露見した場合に請求される慰謝料の相場など不倫リスクについても詳細に解説した本書は、今に始まった現象ではない"不倫"ブームについて考察するための、最適なガイドと言えるでしょう。

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