ゲームクリエイターが福岡に注目する理由とは

熱狂する現場の作り方 サイバーコネクトツー流ゲームクリエイター超十則 (星海社新書)
『熱狂する現場の作り方 サイバーコネクトツー流ゲームクリエイター超十則 (星海社新書)』
松山 洋
講談社
907円(税込)
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『NARUTO -ナルト-疾風伝 ナルティメットストームレボリューション』や『ジョジョの奇妙な冒険』で知られるゲーム制作会社「株式会社サイバーコネクトツー」。同社は東京と福岡、2か所に拠点を置いていますが、同社代表取締役・松山洋さんは、初の著書『熱狂する現場の作り方 サイバーコネクトツー流ゲームクリエイター超十則』で、福岡に拠点を置くメリットを、次のように述べています。

1、家賃が安い。物価が安い
2、通勤時間が短い
3、クリエイティブな人材が多い
4、空港が街の中にある

 同社に限らず、近年、ゲーム業界では、ゲームソフトのグラフィックリソースを、中国・韓国の企業に発注するケースが急増中。その点でも、空港まで距離が近く、アジアへの渡航時間も短くてすむ福岡市は位置的に好条件なのだとか。

 また、過去のインタビューで松山さんは「私は、クリエイティブという観点で考えると福岡が日本一の環境だと思っています(中略)。通勤時間一つとっても、東京のクリエイターと比べると、福岡のクリエイターは2~3時間、通勤に必要な時間が短い。つまり、その分体力を温存したり、ゲームをしたり映画を見ることができるので、よりクリエイティブを楽しめる環境があるんです。これは福岡が持つ大きなポテンシャルだと思いますよ」(#FUKUOKAより)と述べ、福岡はクリエイターにとって、まさに"開発天国"であると言います。

 こういった利点を内外に発信するために、松山さんが2004年に設立したのが、GFF(GAME FACTORY'S FRIENDSHI)という任意団体。九州・福岡のゲーム制作関連会社がパートナーシップを結び、地元の九州大学とも協力しての産官学連携を続けているそうです。
 
 また本書で目を見張るのが、オリジナルタイトル『.hack』シリーズ制作の経緯。同タイトル制作にあたり『新世紀エヴァンゲリオン』の貞本義行さんにキャラクターデザイン依頼するも、断られてしまった松山さん。それでもめげずに、長期戦の"寝技"に持ち込み、3次元CGで綾波レイを作るなどして熱意を伝え、ついに貞本さんについに承諾してもらったのだとか。

 ゲーム業界のトップランナー松山さん自ら、"総合エンターテインメント"を生み出す現場の作り方を明かした同書は、ゲームファンならずとも知っておきたい逸話が盛りだくさんとなっています。
 

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