アメリカで、永遠の思春期を描きだそうとする映画やドラマが増えてきている?

ヤング・アダルトU.S.A. (ポップカルチャーが描く「アメリカの思春期」)
『ヤング・アダルトU.S.A. (ポップカルチャーが描く「アメリカの思春期」)』
山崎 まどか,長谷川 町蔵
DU BOOKS
2,376円(税込)
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「アメリカのポップカルチャーに描かれた"アメリカの思春期"について、長谷川町蔵と山崎まどかがしゃべりまくる本である」と、まえがきの冒頭に書かれるように、本書『ヤング・アダルトU.S.A.』は、著者である長谷川町蔵さんと山崎まどかさんが、アメリカのティーンムービーやテレビドラマを基軸とし、文学、音楽、ファッション、大学事情と、さまざまなジャンルを横断しながら、思春期というテーマから見えてくるアメリカのポップカルチャー像を浮かび上がらせていきます。

 80年代のティーンムービーのマエストロことジョン・ヒューズの軌跡を辿るところからはじまり、テレビドラマ・glee/グリー、視聴者参加型のリアリティー・ショー、YA(ヤングアダルド)小説、アイドル歌謡......といったように、現在進行形のアメリカにおけるポップカルチャーを網羅する本書ですが、息の合ったふたりの対話の絶妙さと分析力の高さはもちろんのこと、特筆すべきことのひとつは、何と言ってもその情報量の多さ。ふたりの対話を入り口とし、新たに興味を持った方も、すぐに実際の映画作品や音楽に触れることができるように、充実の情報が記載されています。

 全10章から構成される本書ですが、たとえばその第1章を見てみるだけでも、「ジョン・ヒューズの映画10」「ヒューズ映画へのオマージュ作品」「ヒューズ以前のティーンムービー5」「グランジ時代のティーンムービー5」「90年代テレビドラマ5」「ミレニアム期ティーンムービー12」、そしてイラスト付きで紹介される、アメリカのティーンムービーに描かれる学校内階級制度の解説......と、濃厚なポップカルチャーガイド本としての側面も。

 そして最終章「永遠にヤング・アメリカン」では、近年、結婚のみならず真剣な恋愛すら回避し、永遠の思春期を描きだそうとする映画やテレビドラマが増えてきている点に注目がなされます。

「ナイーブで若いということがアイデンティティのすべてで、そこから踏み出せないものだから、永遠の思春期を作り出そうとしている」(本書より)

 しかし同時に、ふたりはアメリカの映画や音楽に触れるとき、自身のなかにもまた宿る"ヤング・アメリカン"の存在に気付くのだそう。そのため、アメリカを語るということは、若さについて語ることでもあり、自分のなかの永遠に成長しない子どもを見つけることなのだといいます。

 10代はもちろん、「別れた恋人への未練とか、単調な仕事への焦燥感、失われた若さへの羨望といった」悩みを抱える全ての世代の人びとへ贈る、アメリカのポップカルチャーが凝縮された、読み応えのある一冊となっています。

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