スマホ代月額900円台で急成長!  知らないと損するMVNO事情

通信業界の裏側が分かる 2015
『通信業界の裏側が分かる 2015』
日経BP社
2,376円(税込)
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 大手通信会社の回線を借りて格安でスマートフォンを提供するMVNOサービス。そう言われてピンと来ない人でも、いわゆる「格安スマホ」という名称なら一度は聞いたことがあるはず。そんなMVNOサービスが、スマホユーザーたちの間で注目されています。

 総務省によれば、スマートフォン新規契約が伸び悩む中、2014年末時点でMVNOサービス契約数は892万契約に上り、2013年末時点での669万契約と比較して、実に1年間で33%の伸びを記録したといいます。なぜ、MVNOサービスは、これほどまでにスマートフォンユーザーに受け入れられたのでしょう。

 本書『通信業界の裏側が分かる2015』では、ここ数年でMVNOサービスが急成長した背景のひとつに、大手通信会社の料金プランがもつ特徴をあげています。

「携帯電話各社はこれまで、1000円以下である程度使える低料金プランを投入しておらず、代替となるサービスもなかったからだ。(中略)携帯会社各社にとってライトユーザー向けの選択肢(月1G~2Gバイトの格安プラン)は、ARPU(契約当たりの月間平均収入)の引き下げにつながるためか、投入されてこなかった」(本書より)

 つまり、大手通信会社は、スマートフォンユーザーのニーズを料金プランに反映しきれなかったため、ユーザーの関心は"格安"を謳うMVNOサービスに移ったというわけです。

 実際、昨年7月に大手通信会社が料金プランの改定に踏み切ったものの、それでもなお、運用には月額6000円前後かかりました。一方、MVNOサービスは、通信容量が月1G~2Gバイトなら月額900円前後から運用が可能だったのです。

 そして、もう一つ、MVNOサービスの伸びを加速させたのは、同時期に登場した、回線はビッグローブ、端末はジェネシス社から仕入れ、セットで販売したイオンの格安スマホ「イオンスマホ」の力も大きいといいます。

 本書によれば、イオンスマホに代表される「格安スマホ」は、基本的には契約期間の拘束や解約金なし。端末の購入は必要なものの、大手通信会社よりも安く運用できる安心感から、スマートフォンに不安を抱く主婦や高齢者を中心に、受け入れられていったというのです。それらの事実から、本書では2014年を「MVNO元年」と位置づけています。

 ただし、こうした格安スマホは、スペックやデザイン面で多少見劣りする海外製の端末がほとんどで、それらを懸念する人や日本製特有の機能がほしい人にとっては、使いにくいものでした。

 しかし、最近では、MVNOサービスに新しい流れが起きています。相次ぐ日本メーカーの参入です。

 中でも記憶に新しいのは、今年4月にソニーから発売となった「XperiaJ1 compact」。回線はso-net、端末はソニーという格安スマホでありながら、Androidの中でも人気の高いXperiaシリーズのスペックを継承した高スペックを実現しています。また、日本人に馴染み深い「おサイフケータイ」も搭載した点も画期的でした。

 2015年は、このような日本メーカー発の安価かつ高性能な格安スマホの台頭が、MVNO市場拡大のさらなる起爆剤となることが期待されているといいます。

 コスト面はもちろんスペック面でも実用性が高くなってきたMVNOサービス。通信費がかさんでいる家計の見直しはもちろん、コストパフォーマンス重視のビジネスユースとしても幅広く活用できそうです。


【関連リンク】
いまさら聞けないMVNO基礎知識 MVNOを使いこなすための取扱説明書‐「mvno lab」
http://lte.so-net.ne.jp/articles/201505_02/

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