バーチャルの世界でキャラクターと目で通じ合う新技術「FOVE」 72時間で3,000万円の獲得に成功

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小田 恭央
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 ゲームといえば、コントローラーやマウス、キーボードでの操作が常識だったが、次世代型の新たな形として注目されているのが、ヘッドマウントディスプレイを装着し、仮想現実(VR、バーチャルリアリティー)の中に入り込むスタイルのプレイ方法だ。

 まるでゲームの中に入り込んだかのような感覚でプレイすることで、コントローラーだけでは得られなかった操作感とリアルさを体感できることが大きな特長である。そんなVRでのゲームスタイルが、また一歩進化を遂げた。

 5月19日、ヘッドマウントディスプレイ「FOVE」を手掛けるFOVE社が、視線追跡技術と動作追跡技術を組み込むことに世界で初めて成功したと発表。それに伴い、米国のクラウドファンディングサービス「Kickstarter」を利用した資金調達キャンペーンを開始した。

 「FOVE」最大の特徴は、視線追跡技術によってVRで感情表現ができるようになったということ。これにより、例えばキャラクターと目線を交わして笑いあったりなどアイコンタクトによるコミュニケーションができるようになる。つまり、画面の中のキャラクターと"次元の壁"を超えたふれあいが可能となるのだ。

 また、この視線追跡技術の導入で、従来の問題もいくつか解決されている。例えば、これまでの技術では視界に違和感が発生し、短時間プレイしただけでユーザーの気分が悪くなるなどの課題があった。しかし同技術では、見ていない部分の解像度を意図的に下げてボカシを入れることにより、私たちが普段見えている自然な視界によりいっそう近づくことで、より現実世界に近い視界を保つことができるようになった。

 この新技術、実はゲーム以外の業界からも期待の声が高い。同社のCTOであり共同創業者であるロックラン・ウィルソン氏は、「ゲームの世界を越えて学校や研究機関、医療機関と共同で既に作業を開始しています。当社のEye Play The Pianoプロジェクトでは、身体に障害のある方が目だけでピアノ演奏を成功させた事例もあり、今後は医療業界におけるFOVEの活躍も想定している」と述べる。

 ゲームのみならず、医療業界などにも変革をもたらすかもしれない新製品「FOVE」。その技術と量産体制の確立には資金調達が必要不可欠であり、「Kickstarter」で25万ドルの資金獲得を行ったところ、なんと72時間で目標額を達成。今もなお、この技術の可能性に賛同する人からの投資が続いている。349ドル以上を出資した人には、その金額に応じて端末を割引価格で購入できる特典も与えられるとのこと。

 同社のCEOである小島由香氏は今回のキャンペーンについて「視線追跡型の技術を仮想現実の標準にしたいという私たちの目標が数年早まるかもしれない大きな挑戦。より実用性を高め、市場の更なる拡大に繋がれば嬉しい」と語り、今後の展開に期待をのぞかせた。

 【関連リンク】
FOVE: The World's First Eye Tracking Virtual Reality Headset/Kickstarter
https://www.kickstarter.com/projects/fove/fove-the-worlds-first-eye-tracking-virtual-reality

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