いち早く「係長」になってもなぜ伸び悩む? 会社での評価に隠れるカラクリとは

出世する人は人事評価を気にしない (日経プレミアシリーズ)
『出世する人は人事評価を気にしない (日経プレミアシリーズ)』
平康 慶浩
日本経済新聞出版社
918円(税込)
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 あなたの周りに、同期でいち早く係長に昇進したにも関わらず、その後は課長になれずに足踏みをしている人はいないでしょうか。実は会社で「管理職に昇進する時の基準」は、それまでのものと全く異なるのだそうです。

 人事コンサルタントの平康慶浩さんは自著『出世する人は人事評価を気にしない』でこの"カラクリ"をわかりやすく説明しています。

「人事用語で言えば、一般社員の間(主任・係長などを含む)は『卒業基準』で昇進判断がされる。小学校のカリキュラムを終えてから中学校へ、中学校のカリキュラムを終えてから高校へと進む、というのと同じ理屈で、平社員を卒業して主任や係長になる。しかし、大学は違う。入試を経て、大学生としてふさわしい学力があるかどうかを判断される。管理職に昇進するときも大学入学と同じような判断がされる。これを『入学基準』と言う」(同書より)

 平康さんによると、会社での評価は、「卒業基準」と「入学基準」の2軸があるとのこと。小学校を卒業して中学生や高校生になるように、主任や係長になるのは平社員を卒業してなるもの。そのため、一般社員から係長へいち早く昇格する基準は、仕事が早かったり、正確だったり、いわゆる会社組織の中でそつなく優秀に仕事をこなせるか否かが問われます。

 一方、平康さんは、管理職になるには入学基準をもとに判断されるといいます。管理職としての資質があるかどうか、会社の上層部はこれまでと別視点でその人物をチェックしているのです。好成績で仕事ができることはあくまで前提で、それとは全く違う「会社上層部の考え方」に沿えるかどうかを確かめているのです。

 もし、あなたのまわりにスムーズに昇進しない人がいたらば、それは、この「卒業基準」と「入学基準」の2軸があることに気づいていないからかもしれません。相変わらず係長として成果を出していても、なかなか課長に昇進できない。それは、課長に必要とされる「上の役職の考え方」を持つことを意識できていないのではないでしょうか。一般社員と管理職では大きな壁があることを私たちは知る必要があるのです。

 また、仮に課長になれたとしても、その上の次長、部長とスムーズに昇進できるとは限りません。

「20年も昔なら、『彼も課長になって10年になるからそろそろ次長に』という昇進基準を使う会社も多かった。しかし今、そんな基準を用いている会社はどんどん減っている。私の知っている限りで言えば、景気に左右されづらいインフラ企業とか公的機関、意外に保守的なマスメディア関連、あとは中堅以下のオーナー企業の一部くらいだ」(同書より)

 多くの会社では今や、課長から次長、また、次長から部長への昇進は「入学基準」が一般的になっているというのです。ですので、サラリーマンたるもの、業務のスピードや正確性を向上させた後には、管理職としてふさわしい仕事ができるかが、次の昇進基準となることを頭に入れておくべきかもしれません。中長期的に自分の昇進プランを考える際、重要なポイントは「卒業基準と入学基準の2軸」です。

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