本当の私は違う......自分の「キャラ」に違和感を感じてませんか?
- 『バラエティ番組化する人々 あなたのキャラは、「自分らしい」のか? (廣済堂新書)』
- 榎本 博明
- 廣済堂出版
- 864円(税込)
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高校時代の友人とはしゃいでいた時に大学時代の友人と遭遇する、または、居酒屋で学生時代の友だちと盛り上がっていた時に、近くのテーブルに仕事関係の人がいることに気づく、そんな時、少し気まずくなったことはないでしょうか?
もちろん大学時代の友人や、仕事関係の人の悪口を言っていたわけではありません。でも、何だか気まずくなってしまう。それは、普段見せている姿と違う姿を見られたかもしれないと不安になるから。簡単に言うと、いつものキャラとは違うキャラが出ている可能性があるからなのです。
心理学博士の榎本博明さんは、自著『バラエティ番組化する人々』の中で、そんな人間のキャラについて語っています。
「私たち日本人が、集団の中での立ち位置を気にするのも、『人からどう見られるか』についてとくに過敏なのも、初対面の相手に非常に気を遣うのも、相手によって自分の出し方を変えないと適応していけないからだ。そのような文化的風土をもつ日本人にとって、『キャラ』という発想は、非常になじみやすいものだったのだろう」(同書より)
どうやら、私たちの生活とキャラは密接な関係にあるというのです。高校時代のキャラと大学時代のキャラが異なると、確かに少々、気まずくなるもの。学生時代と社会人時代だと更にキャラに違いが出てきそうですね。
キャラとは、自分が所属するグループから認められている「その人らしさ」。そのキャラ通りに言動し、お約束のやり取りすることで楽しい時間を過ごすことができるのです。
キャラ作りは日本人が上手に生きていく処世術とも言えるのですが、その反面、その人の一面しか見ることができないという問題も孕んでいるようです。
榎本さんが20歳前後の若者約200名を対象に行なった調査では、「自己のイメージと友だちがもっているこちらのイメージがずれているように感じる」という人が45.2%、「こう見られたいという、自分のイメージ通りになかなか友だちから見てもらえない」という人が35.7%となったそうです。
「表面上は安定した良好な関係を維持しているようでありながら、だれもが無理をして自分を抑えながら、キャラの役柄に一生懸命、徹している。お互いに、相手の本音に触れることをせず、深いところまで理解し合えないままに、お約束のやり取りばかりが繰り返される。これはまさに、テレビのバラエティ番組での芸人やタレントのやり取りと言える。バラエティ番組では、それぞれのタレントのキャラがはっきりと立っており、すべてがお約束に則っているため、視聴者は安心して見ていられるのだ」(同書より)
そんなテレビでのキャラ化が、私たちの実生活の人間関係の間でも展開される時代となっているのです。イジられキャラ、キレキャラ、ボケキャラ、イジりキャラ......あなたは今の自分のキャラに満足していますか?