「OLのFacebookがつまらない!」から生まれた? コップのフチ子の誕生秘話

コップのフチ子のつくり方
『コップのフチ子のつくり方』
古屋大貴
パルコ
1,404円(税込)
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 シリーズ累計650万個を超えるヒット商品となった「コップのフチ子」。同商品は、OL風の女性「フチ子」を、その名の通りにコップのフチに腰掛けさせたり、ぶら下げたりして遊ぶカプセルトイです。

 フチ子はこれまで、歌手・安室奈美恵さんやモーニング娘。など、これまで様々な有名人とのコラボを展開してきました。最近では、俳優・坂上忍さんともコラボ。潔癖症で知られる坂上さんに合わせて全身真っ白な"潔癖な"フチ子が誕生しました。

 同商品がヒットした要因のひとつは、「つい写真が撮りたくなる」こと。フチ子をコップやグラスに引っ掛け写真を撮る。そして、その写真をFacebookやTwitterに投稿して楽しむ。そこから、SNS上で拡散していき、結果としてヒット商品となっているというのです。

 発売元の玩具メーカー「奇譚クラブ」を主宰する古屋大貴さんは、自著『コップのフチ子のつくり方』のなかで、フチ子誕生の裏側を紹介しています。

 フチ子は、奇譚クラブとデザインを担当した漫画家・タナカカツキさんの共同開発のキャラクター。実はデザイン担当のタナカカツキさんは企画段階でSNSのこと意識しており、特に「OLのFacebookがつまらない!」という不満を抱いていたのだとか。

 友達や彼氏と行った店での食事の写真をアップ。雰囲気のいいカフェでの写真をシェア、さらに家で作った自信作の手料理を大公開......しかし、そんなOLのFacebook上での振る舞いについて「ありきたりな食事の写真なんて誰がみたいねん!」という気持ちになっていたのだそうです。

 テレビ番組『アメトーーク!』の「カメラかじっている芸人」(2013年2月14日放送)でも、芸人の小藪千豊さんが空・犬・猫・カプチーノを撮る女性の心理に疑問を投げかけています。そもそも、男女でSNSの楽しみ方が違うのかもしれません。

 そんなカツキさんは、このつまらない写真問題をどうにかしたいと切に願い、Facebookを面白い写真溢れる楽しいものにしたいというモチベーションが、巡り巡ってフチ子のアイデアとなったというのです。その結果、つい写真を撮って投稿したくなるアイテムとして、コップのフチ子は人気商品となりました。

 古屋さんも同書の中で「自分が撮った写真ならともかく、他人がアップしている写真を『もっと面白くしよう』なんて、普通は考えませんよね」と、カツキさんの"意識の高さ"に驚いた様子。

「面白い」を追求してヒットしたフチ子。次は、どんな著名人とコラボするのか、今後の展開が気になるカプセルトイです。

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