『non-no』読者はなぜモテるのか?「おしゃれに見えて、でもやり過ぎない」
- 『雑誌の人格』
- 能町 みね子
- 文化出版局
- 1,620円(税込)
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『小悪魔ageha』のようなギャル雑誌から男性誌『SPA!』まで。漫画家・能町みね子が好きな雑誌を独自に「人格化」し、読者の趣味や容姿、家族構成などのリアルな読者層を分析したのが書籍『雑誌の品格』です。
本書で人格化された女性ファッション誌のなかで、唯一「モテる女子」と分析された『non-no』に注目してみましょう。
20代前後の女性をターゲットにした『non--no』は「おしゃれに見えて、でもやり過ぎない」ファッションを提案する雑誌として知られています。トレンドを追いすぎることもなく、かといって個性を主張するわけでもない「ザ・無難」。しかし、登場するファッションの量は膨大で、多くのファッション誌に見られる「着回し」シリーズも、100種類のコーディネートを試すなど、他の女性誌と比べて数が違うのが特徴です。
それぞれのコーデは、桐谷美玲、本田翼、大政絢、波瑠などの有名女優やモデルが、完璧に着こなしています。しかし、読者はモデルみたいになりたいのではなく、モデルのように「間違いのないファッションをしたいと思っているだけ」というところがポイント。つまり、『non-no』の読者はおしゃれに自信のない、いたってフツーの女の子であるようです。
そんな彼女たちが、なぜモテるのか? 能町さんは、彼女らの強みは「女性性」であると指摘します。さらに、本人にはその自覚が稀薄であることも逆に強みになっているとも。
「彼女たちには、典型的な女性らしさについて、てらいがない。「女子力」「ガールズトーク」という言葉を当たり前に使い、ディズニーを好み、黒髪か控えめの茶髪でロングヘア、メールにかわいい絵文字や顔文字は必須。旅行と占いが大好きで、最新ガジェットには疎い。疎いことを男子に教えてもらうことにもためらいはない。趣味も非常に健全で、恋愛の苦手な大学生男子が想像する「身近な女子」を具現化したような存在です」
自信のなさを無自覚に「奥ゆかしさ」に転じさせる力を持ち、同僚など身近な男性たちからモテモテな女子。それが『non-no』読者なのではないか、と能町さんは分析します。普段愛読している雑誌がどんな視点から分析されているのか、チェックしてみるのもよいかもしれません。