電子書籍はBL好きの「隠れ腐女子」たちを救うのか

桃色ヘヴン!(13) <完> (デザートコミックス)
『桃色ヘヴン!(13) <完> (デザートコミックス)』
吉野 マリ
講談社
473円(税込)
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 ユーザーが情報を収集し、気軽に「まとめる」ことが出来ることで人気のキュレーション・プラットフォーム「NAVERまとめ」。ここ数日間でとある「まとめ」が、アクセス数を伸ばしています。通常のまとめの場合、アクセス数に比例するかのように、Facebookの「いいね!」や、Twitterへのツイートが増えるのですが、このまとめへはそれらが皆無なのです。 

 まとめのタイトルは、「隠れ腐女子が選ぶ!萌えたBL漫画・役立つモノまとめ」。確かに、ツイートやいいね!が少ない理由も頷けます。「BL」とは、ボーイズ・ラブの略称。男性同士の恋愛が主たるテーマとなっており、主に女性が楽しむことを目的に描かれていることが特徴です。BL愛好者は、自らの趣向を自嘲的に「腐っている」と称したことから、いつしか「腐女子」と呼ばれるようになりました。

 「腐女子」であることを隠しながら日常生活を営んでいるのが「隠れ腐女子」です。自らの性癖を隠しながら生きる彼女たちは、肌身離さず持ち歩いている携帯電話の中に、秘密を隠しているのだそうです。例えば、今年人気を博したのが、BL好きな腐女子が開発したスマホ用のアプリ「ホモォいじり」です。腐女子の化身として生まれたアスキーアートのキャラクター「ホモォ」。その「ホモォ」を育成することが目的の本ゲームは、昨年12月にリリースされると、わずか2ヶ月で60万ダウンロードを記録しました。

 今年2月には、携帯電話への配信も行っている角川グループ運営の電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」が、BLに特化した専門店『.BL(ドットビーエル)』をオープンしました。auが展開する定額制の電子書籍サービス「ブックパス」では、「BL宣言!」と題した専用ページで、BL漫画の充実度をアピール。昨年末に完結した吉野マリの大作「桃色ヘヴン!」などが、スマートフォンから気軽に読めることを謳っています。

 いわゆる「ガラケー」全盛時代に、携帯での漫画売上の大部分を占めていたのは、「BL」の売上だったと言われています。しかし、携帯の主流がスマートフォンとなると、BLを配信するコンテンツサービスが少なく、腐女子たちは路頭に迷ったというのです。

 書籍業界では、電子書籍を販売する各社サイトが充実した今年こそが、日本における「電子書籍元年」という意見も多いです。漫画を配信するプラットフォームが出揃った今、BLをスマホから読む「隠れ腐女子」たちが、電子書籍にとって思わぬ起爆剤となるかもしれません。

【関連リンク】
隠れ腐女子が選ぶ!萌えたBL漫画・役立つモノまとめ(NAVERまとめ)
http://matome.naver.jp/odai/2136932828419812901

男子も必見!? BL入門まとめ
http://pass.auone.jp/matome/bookpass/odai/6.html

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