マンガの強みは「マンガだから出来ること」が多いこと

マンガホニャララ ロワイヤル
『マンガホニャララ ロワイヤル』
ブルボン小林
文藝春秋
1,512円(税込)
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 「週刊文春」や「週刊ファミ通」など、様々な雑誌で連載を持つ人気コラムニストのブルボン小林氏。そのブルボン小林氏が「週刊文春」で2010年から2013年まで執筆したコラムを中心とした、70本ものマンガコラムを収録した『マンガホニャララ ロワイヤル』が刊行されました。

 「漫画も書物だ。読書の本来的な用途に「知見を得る」ということがあるとしたら、漫画もその例に漏れない。ハラハラドキドキさせたり笑わせたりする漫画からも我々は知識を得る。エジプトと異なるメキシコのピラミッドの形状は『鉄腕アトム』で知ったし、「ワンドアーツーロック」という防犯の教訓(の言葉)を『こち亀』で得た」

 漫画をこのようにとらえている著者は、「サザエさん」や手塚治虫、藤子・F・不二雄作品のような国民的漫画から、「坂道のアポロン」や「君に届け」といった最新の漫画、岡崎京子やつげ義春、その他少しマイナーな作品に至るまで、バラエティに富んだ沢山の漫画を取り上げていきます。そして、漫画だからこその面白さや楽しみ方、漫画だからこそ伝えられることなど、「漫画」の持つ魅力が存分に語られています。

 「なんでも漫画になる。実にいろんな事柄が漫画になってきた。たとえばかつてのスポーツ漫画は野球モノばかりだったが、題材はそれからオリンピックの種目ばりに増えた。他もグルメに金融、子育てから茶器の鑑定まで、現実の全てを漫画化せんという勢いだ。近年は、まだ描かれていない「生き方」を巡っての特殊な状況合戦みたいになってきていることもたしかだ」

 鉛筆と原稿用紙さえあれば描ける漫画は、製作費や人件費などの予算に制限のある映画やドラマなどとくらべて、実に自由。知識はもちろん、生き方について教えられることも多いのかもしれません。

 今まで触れたことのなかった漫画の世界、読み方だけでなく漫画を通じて知ることの出来る「生き方」までを教えてくれる一冊です。

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