本多孝好氏が「違い」を求めた意欲作『ストレイヤーズ・クロニクル』が続編

ストレイヤーズ・クロニクル ACT-2
『ストレイヤーズ・クロニクル ACT-2』
本多 孝好
集英社
1,080円(税込)
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 作家・本多孝好氏が、今までの作風と違い、多くのアクションシーンを盛り込んだシリーズ『ストレイヤーズ・クロニクル』のACT-2がはじまりました。

 運動能力に、聴力、記憶力など、常人とはかけ離れた能力を持つ、昴、沙耶、隆二、良介の4人は同じ施設で育ち、仲間として特別な絆で結ばれていました。しかし、政治家・渡瀬に仲間の一人の亘を人質に取られているため、彼のもとで裏の仕事を続けています。

 同じ頃、世間ではアゲハという殺人集団が事件を繰り返していました。そんなアゲハたちと遭遇した昴は、自分たちの能力と共通するものを感じます。実はアゲハ、昴たちと同じプロジェクトの別ラインで作り出されていたのでした。後天的な負荷を与え、能力を身につけた昴たちに対し、アゲハは遺伝子操作によって能力が付与されていたのです。

 ACT-2では、そんなアゲハたちの能力が次々と明らかになります。しかし、彼らの能力は、昴たちでは太刀打ちできないような高いものばかり。アゲハたちは創造主である大学教授への復讐を目指し、昴たちには「アゲハを狩れ」との命令が。また、この2つの集団が繰り広げるスリリングな攻防に、若きセキュリティー会社社長・神谷がゲームを仕掛け、アゲハに部下を殺された警備員会社社長・井原の復讐作戦も重なる。様々な思いを秘め、能力者たちが作戦を実行する。今作で物語は混沌となってきました。

 娯楽性を重視していると言う同作は映画にも向いていて、完結予定となっているACT-3の発表とともに、映画化の発表も非常に楽しみなシリーズです。

 「いままでとは大きく違うものを書くことは最初からの決めごとでした。いままでと違ったことを違ったアプローチで書くことで、自分がどう変われるのか。それを期待しながら書いたという意識が強かったですね」

 と、本多氏が言うように、実験的な要素が大きい同シリーズ。まだ手を伸ばしていない人は、ぜひACT-1から。あえて同じ作風で2周目に入らなかったという本多氏の意欲が、ページをめくるごとに伝わってきます。

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