「日中韓の関係」は、なぜここまで複雑なのか
- 『日中韓2000年の真実 ~なぜ歴史のウソがまかり通るのか~ (扶桑社新書)』
- 拳骨 拓史
- 扶桑社
- 799円(税込)
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先月、中国海軍の艦艇7隻が、沖縄県・仲ノ神島付近の接続水域を通過したことについて、日本政府内は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化に抗議する「示威行動」との見解を出しました。韓国との領土問題は、いまだ緊張状態にあり、隣国との関係は決して良い状態とはいえません。そして繰り返される歴史認識の食い違いが、問題をより複雑化しています。
書籍『日中韓2000年の真実』によれば、この日中韓の間にある歴史は、長い時間と様々な論説によって、事実とは違った形で一般に浸透してしまっているというのです。"私たちの文化的ルーツは中国大陸からやってきた渡来人によってもたらされたという一般認識は嘘である"という衝撃の内容に始まり、領土問題についても深く言及しています。
本書によれば、中国が尖閣諸島の領有権を主張しているのは「発見優先の原則」に従ってのこと。ですがこの「発見優先の原則」は自国有利な解釈が生まれやすく混乱を招くため、18世紀末には世界的に否定され、かわりに「先占の原則」へと変更されていきました。一方日本は、この「先占の原則」に基づき実効支配してきた日本に領有権があるとの見解をみせています。また中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、1968年に尖閣諸島沖で石油資源が存在する可能性が指摘されてからだといいます。それまで中国が日本に対して領有権を主張したことはありませんでした。
日頃、日中韓の問題をニュースで目にするたび、「いったいどこの国が本当のことを言っていて、何が正しいのだろう。」と思うことがあると思います。「自分が住んでいる日本の主張が正しいとも言い難い。」と感じている人も少なくありません。これは仕方のない話で、これまでにどんなことが日中韓の間で起こってきたのかを知らなければ、問題を理解し位置づけていくことは困難です。互いの認識が食い違っている部分を知り、そのうえで問題と対峙することが必要となります。
本当の歴史は誰も知ることが出来ません。ですが、今まで知っていた歴史とは違った側面を見ることで、日中韓の関係がなぜ複雑なのかを理解する助けになるかもしれません。