シティーボーイズのバイブル、雑誌『POPEYE』はこうして作られた

popeye物語―若者を変えた伝説の雑誌 (新潮文庫)
『popeye物語―若者を変えた伝説の雑誌 (新潮文庫)』
椎根 和
新潮社
514円(税込)
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 マガジンハウスの雑誌POPEYEの11月号はご覧になりましたか? シティボーイの定番&新定番と題し、「これまで10年使ってきたもの、これから10年付き合っていきたいもの。」を掲載した定番図鑑2012として充実した内容となっております。

 「Magazine for City Boys」のコピー通り、POPEYEは創刊から今までシティボーイズのバイブルとして親しまれてきたのです。スニーカーがまだズックと呼ばれていた時代、60年代の反米気分に嫌気がさした若者たちの前に現れたのが"シティボーイのためのライフ・スタイル・マガジン" POPEYEでした。そのPOPEYEがどのようにして生まれ、どのように若者の心を掴んでいったのか、興味はありませんか? そんな方にうってつけの本を紹介したいと思います。

 書籍『popeye物語』は、当時の若者文化に衝撃を与えたPOPEYEの創世記の裏側を隅々までひも解いた本です。先日発売された太田出版の雑誌、ケトルの雑誌特集でもインタビューが収録されていた伝説の編集長、木滑良久氏とそこに集った風変わりな才能たちによって創り上げられた紙面とそれに対する若者たちの反応。木滑王朝とまで言われ、研ぎ澄まされた独断と偏見に満ちた特殊部隊による雑誌制作秘話の数々は、POPEYEファン必読の内容となっています。

 あくまでホンモノにこだわり、衣服から農作業に使う耕具まで、高品質のものを取り上げ浸透させていった熱意とあくなき探究心こそ、創刊から30年以上たってもPOPEYEが未だに愛されている理由なのだと納得させられます。ホンモノ志向のPOPEYEマインドは、木滑王朝時代に培われ、脈々と受け継がれてきたものなのです。また木滑氏はシティーボーイズを自ら先導するために、ジムショーツ(ショート丈のパンツ)にスニーカー姿で夜の六本木に乗り込み、スケボーをして遊び倒していたという話も収録されています。自分がいいと思ったものしか絶対に紹介しないのと同時に、良いと思ったものはとことん紹介していく姿勢は圧巻です。

 かつてのシティーボーイズから現代のシティーボーイズまで、私たちの先生POPYEYが伝説となるもっと前の神話的内幕に触れてみてはいかがですか? きっと、もっとPOPYEYが好きになるはずです。

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