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アノヒトの読書遍歴 光浦靖子さん(後編)
独特の存在感をもつお笑いコンビ「オアシズ」として活躍する光浦靖子さん。一方で、エッセイの執筆や、手芸好きが高じて手芸本を出版するなど、活動の幅を広げています。そんな光浦さん、幼少期の読書の傾向も独特だったようです。
「小学校のときは図書館で本を借りるとシールがもらえたので、そのシール目当て本を読むようになって、結果、読書好きな子になっていました。そのころ読んだもので覚えているのが、ものすごくケチなおばあさんが出てくる話。パンの耳をもらったり、大根の葉っぱしか食べなかったり、すんごいケチんぼなばあさんなんですけど、そんなばあさんが初めて恋をするんです。おじいさんに恋をして、それで初めてお金を使ってきれいになって、『お金を使うのっていいことね』ってお話なんです。今思えば現在の自分を予想していたのか......」(光浦さん)
中学時代からは部活一色で、ほとんど読書をしなかったそうですが、高校3年生ぐらいから再び図書館で本を借りて読書するようになったといいます。その後、上京して芸人として活躍するようになると、読書の「カルチャーショック」とも言える出来事が。
「学生時代はお金がないから、図書館で本を借りるしかなかったんです。民間の図書館も、当時は今みたいに充実していないところが多くて。『本はつまらない』っていうのが学生時代の印象だったんです。それが東京に出てきて、芸人として収入ができてから久々に本屋さんに行ったら、『まぁこんなに充実しているのか』と。そこからガンガン大人買いですよ。世間で売れている本ってこんなに面白いものなのかっていうのが初めてわかって。もうカルチャーショックでしたね」
そんな光浦さん、5月には手芸好きが高じて『男子がもらって困るブローチ集』という手芸本も出版しました。これまでさまざまな本を出版してきた光浦さんですが、今回は読者ターゲットをかなり細かく設定したといいます。
「自分と同じような人に向けた本になっています。独身で、彼氏がいなくて、夜中に時間があまったときに、本を隅々まで読んでくれるような人を想定して」
また、製作にあたってはこんな想いがあったそうです。
「作るにあたって読み物として面白いもの、クスッと笑える手芸本を作りたかったんです。そういうのは世の中にこれ一冊しかないんじゃないかなと思います。今、自分がやれる範囲の中で面白いイメージを詰め込みました」
可愛らしさあふれる手芸と笑いのエッセンス、そして独特の文章と、光浦さんの魅力満載の一冊になったようです。
<プロフィール>
光浦靖子(みつうらやすこ)
1971年、愛知県生まれ。1992年、大久保佳代子とお笑いコンビ「オアシズ」を結成。フジテレビ系バラエティ番組「めちゃ2イケてるッ!」で有名になり、その後も数多くのバラエティ番組に出演している。またエッセイも多数執筆しており、2012年5月には自身初となる手芸本『男子がもらって困るブローチ集』を出版した。