松尾芭蕉の愛した高度に知的な大人の言語ゲーム「俳句」を楽しむ
- 『俳句いきなり入門 (NHK出版新書 383)』
- 千野 帽子
- NHK出版
- 842円(税込)
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歌舞伎に落語、茶道に華道......一昔前までは少し高めの年齢層向けの趣味という認識が強かった日本の伝統文化。手を出したくても「楽しむにはルールや厳しいきまりがあるのでは」などどこか敷居が高く感じてしまいがちです。
しかし、最近では歌舞伎座や寄席に足を運んだり、お稽古としてお茶をたてる若い人も多いのだとか。私たちが少し敬遠しているだけで、もっと気軽に楽しめる日本文化はまだまだたくさんありそうです。
季語などを交えつつ厳選された五・七・五の17文字で一つの世界観を表現する「俳句」もその一つ。俳句といえば新聞の投稿欄ではよく見かけつつも、「最後に自分で作ったのは国語の授業」という人も多いのではないでしょうか。そんな俳句超初心者が知識ゼロからスタートし、最短で句会ができるようになることを目標とした指南書が書籍『俳句いきなり入門』です。
本書は全くの俳句初心者であった著者自身が初めて句会に参加し、時間が足りずに焦りつつも一句詠んだときの様子など少しクスッとしてしまうエピソードを交えつつ、「季語は最後に決める」や「口語より文語で作るほうがラク」など目からウロコの作句法などを収録。また数人がそれぞれ匿名で俳句を持ち寄り、作品の評を述べ合う句会を俳句の醍醐味としてその魅力を紹介しています。
著者いわく、俳句は風流な芸術でもなければ自己表現のツールでもなく、日本語という言葉が持つ膨大なリソースを存分に使って遊ぶ「大人のゲーム」。17文字の中で描かれる無限の世界に、ぜひハマってみてください。