震災後、日本の小説家が「原子力政策」「この国の政治」について描いた、直木賞候補作『コラプティオ』

コラプティオ
『コラプティオ』
真山 仁
文藝春秋
1,851円(税込)
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HonyaClub.com
>> エルパカBOOKS

 読売新聞社が13日から14日にかけて全国世論調査(電話方式)を実施したところ、内閣支持率は37%となり、不支持率は51%(前回44%)に上昇して初めて5割を超えてしまいました。不支持率は、2か月連続で支持率を上回っており、支持率下落を止めることができませんでした。混沌とした日本の政治・経済を立て直す"きっかけ"は何なのか、模索の日々が続いています。

 そんななか、東日本大震災後、日本の小説家が「原子力政策」「この国の政治」について、真正面から描いた真山仁氏の『コラプティオ』が直木賞候補作に選出されました。企業買収をめぐる熱き人間ドラマ『ハゲタカ』でデビューした真山氏。2007 年に放送された『ハゲタカ』『ハゲタカⅡ(「バイアウト」改題)』を原作とするNHK土曜ドラマ「ハゲタカ」が話題となりました。今回の作品では、初めて政治ドラマに挑んでいます。コラプティオとは、ラテン語で「汚職・腐敗」の意。

 「 『コラプティオ』は、私が初めて政治の世界に挑んだ作品です。社会に蔓延する不安を見るにつけ、より積極的に政治にコミットメントするべきだと思い、執筆を始めました」(真山氏)

 舞台となっているのは、震災後の日本。震災だけでなく原発事故の影響を大きく受けている日本経済のなかで、ある人物が「希望の光」としてあらわれました。"有言実行を旨とする気鋭の政治家"、内閣総理大臣の宮藤隼人です。その清新なキャラクターと圧倒的な行動力で総理大臣まで上り詰めた彼は、国民から7割の支持を受けて、傾いている日本を牽引する存在となっています。また、学生時代に宮藤の演説を聞き、その言葉の強さに心を奪われた白石望は、内閣調査官として異能の首席秘書官・田坂義崇と共に宮藤をサポート。また、白石と中学時代の同級生・神林裕太は、その同じ演説で宮藤の「言葉の力」に触れてジャーナリズムを志し、大手新聞社の記者となりました。

 震災前に白石が宮藤に提案し、却下されていた産業復興策。「アトムプラン」──原子力産業を経済復興の要と位置づける禁断の一手が動き出します。そのことを知った神林は、政府・企業といった巨大権力に食らいつき、スクープ取材に身を投じていく......。

 震災後の原子力政策をめぐって火花を散らす男たちがたどり着いた選択とは。真山氏が同作でこの国の政治を問い直しています。

« 前のページ | 次のページ »

BOOK STANDプレミアム