「巨乳化は正義だ!」「いややっぱり諸刃の剣だった」的『アタック・オブ・ザ・50フィート・チアリーダー』
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技術革新により、低予算映画界でも洗練された映像のシリアスなトーンのホラーやアクション作品が増加。しかし、破れかぶれなハジけたバカ映画は減ってしまった感があります。
そんな現状を憂えたのであろう、低予算映画の帝王ロジャー・コーマン御大が、「世界よ、これが低予算B級映画だ!」とばかり世に叩きつけたのが、『アタック・オブ・ザ・50フィート・チアリーダー』(2012)。処理はデジタルだけど、やってることは60年代風原始的VFXがある意味新鮮な正統派珍作です。
大学で新薬開発に関わる地味な理系女子キャシーは、チア部でのイビリ(ブスだのノロマだの)に耐え切れず、開発中の美人化薬品「リニュー」の効果を期待し自ら注射。すると翌日、パイオツモリモリボディに大変身し、チア部どころか学内の人気者に!
だが、一方で徐々に巨人化する副作用が発覚。さらにキャシーの人気を妬むチア部部長ブリタニーもアクシデント的に摂取してしまい......
無駄に多いお色気シーンやお約束シーンの数々に、どこかで聞き覚えのある効果音もチラホラ。70~80年代の映画・海外ドラマ好きなら、2012年の作品とは思えぬ懐かしさを覚えるハズ。
中盤からはお乳だけでなく体格まで巨大化し、ライバルとなるチア部部長もお乳にダブルで「リニュー」を注射しちゃったせいで即巨大化。アメフト会場での巨人チアリーダー対決へと突入し、モロパイキャットファイトでクライマックスへ!
やっつけ合成が炸裂する所為もありますが、パイオツでのチョップ白刃取りなど、エロいハズなんだけどエロさ皆無のカラッとしたバカ展開の応酬となっております。セクシーな設定だけど健康的過ぎてイマイチエロくないWWEディーバとも似ているかもしれません。
ところで"巨乳"というステータスによって周りの扱いがガラリと変わるというのは、プロレス界でもあること。
2000年代初期までのWWEでは、デビュー当時は普通サイズだったディーバが、気付いたらバインバインに"成長"することがありました。それを機にグラビア特集での扱いが大きくなったり、番組内でも美女ディーバとしてチヤホヤされる、なんてことも。
ただ、創業家一族のステファニー・マクマホンも当時、出番の増加と共に突然"巨乳化"した一人ですが、後年、番組内で(=公衆の面前で)偽乳疑惑をイジられたこともあるので、やはり本作同様、諸刃の剣といえるかも(状況によってはオイシイけど)。
さておいて、プロデューサーのコーマン御大も学長役で出演しているほか、サム・ライミの弟テッド・ライミや、『ブレードランナー』の謎髪型のヒロイン役で知られるショーン・ヤングなど微妙に名の知れた俳優陣も登場する本作。珍作度はかなり高めですが、バカ映画が観たいなら90分を有意義に無駄に出来るハズです!
(文/シングウヤスアキ)