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プロレス×映画

アンダーテイカーの設定と別名が思い起こされる衝撃のオチ『ゾンゲリア』

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 筆者のお題探しルートのひとつはCSの映画専門系チャンネル群。番組表を見ながら「これはネタになるな」と録画予約しておいたのが今回のお題『ゾンゲリア』(1981)でした。
 実はてっきりルチオ・フルチの『サンゲリア』と思い込んでいたので、映像確認時「『ゾンゲリア』じゃねぇかこれ!」とズッコケたのは秘密です。

 しかし本作、公開当時の「ダリオ・アルジェント」ブームと「ゾンビ」ブームのおかげで邦題がヒドイことになってますが、王道のロメロ系とは毛色の異なるゾンビ映画として、好事家からも高評価を受ける隠れた名作といわれています。

 その要因とされるのがダン・オバノン(とロナルド・シャセット=『エイリアン』の脚本コンビ)が手掛けた脚本だそうで、衝撃のオチに至るまで、ゾンビ映画とは思えぬサスペンス然とした静かな語り口が、時代を先取りしていたと言われる所以だとか。

 ざっくりいうと、ド田舎の港町で起きる連続殺人事件を調べる保安官が、捜査の末にその街の決して触れてはならない秘密に気付いてしまうお話。

 数名のグループが写真を撮りながら犯行に及ぶ殺人シーンが続き、なんらかの集団が犯人であることが序盤から示唆されます。
 しかし、保安官が誤って轢いてしまった男(男は逃走)の剥がれた皮膚を鑑定してみると、死後三ヶ月は経っているというまさかの鑑定結果が。しかもその鑑定員は最初の事件で死んだ筈のカメラマンの姿を見たといい......。
 愛する妻まで行方不明になる中、必死に捜査を続ける保安官は葬儀屋のドッブスに行きつくのだが......。

 この先まで書くと核心に触れてしまいますが、プロレスでいえば、ベリード・アライブ・マッチに負けて生き埋めになって死んでるハズなのに、思い出した頃に元気100%で帰ってくる(しかも複数回!)アンダーテイカーさん的な設定といいましょうか。
 オチに至るまでを含めると、テイカーさんの"別の異名"の意味も重なってくるかも。

 このオチについては某有名作品の元ネタといわれていますが、監督名や作品名をいうとオチがわかってしまうので伏せるとします。まぁ、テイカーさんの設定を知っている方なら「あぁ」と気付いちゃうと思いますが。

 ちなみに住民の中には本作の3年後に『エルム街の悪夢』の「フレディ・クルーガー」役で一世を風靡するロバート・イングランドの姿も。ギミックチェンジ前の若手選手のごとき地味さ加減のせいで、終盤になってやっと気付いたんだけども!

(文/シングウヤスアキ)

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シングウヤスアキ

会長本人が試合までしちゃうという、本気でバカをやるWWEに魅せられて早十数年。現在「J SPORTS WWE NAVI」ブログ記事を担当中。映画はB級が好物。心の名作はチャック・ノリスの『デルタ・フォース』!

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