プロレスラー出演映画シリーズ:トリプルHがアホな敵幹部役の『ブレイド3』
- 『ブレイド3 アンレイテッド・コレクターズ・エディション [DVD]』
- 角川ヘラルド・ピクチャーズ
- 5,076円(税込)
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プロレスデビュー以来、主にヒールとして一時代を築いたトップスター、トリプルH。経営一族マクマホン家の令嬢ステファニーの夫であることから、現在は公私(番組上/現実上)ともにWWE運営を担う中心人物として知られます。
映画出演歴はそれ程多くないものの、最も有名なのが『ブレイド3』(2004)でしょう。ウェズリー・スナイプス演じる主人公ブレイドの敵となる吸血鬼一族の幹部役として出演しています。95年前後に「ハンター・ハースト・ヘルムスリー」という名前で(現在は頭文字のみの呼称を使用)厭味な貴族ギミックを演じていたため、本作のヒールな吸血鬼幹部にフィットするとして採用されたのかも。
さて、人間と吸血鬼の混血児ブレイドが、人間に悪さをする吸血鬼を狩りまくるヴァンパイア・ハンターとして活躍する本シリーズ。
三部作の締めとなる本作は、ある吸血鬼一族が、封印されていた吸血鬼王ドレイク(『ディテンション』に続きまた出たD・パーセル)を復活させ、さらにブレイドを罠に陥れ、世界征服しちゃうぜ~というお話。
トリプルHが演じたグリムウッドは、映画出演時のレスラーのテンプレ通り、若干アホな筋肉バカ。
車で逃げるブレイドたちを走って追走中、女ハンターの弓矢で片目を射抜かれるおマヌケなシーンや、吸血犬の子犬を大事そうに抱えるシーンなど、WWEにおける"知的な暗殺者"の異名の欠片もないヤラレ&ギャグ担当として活躍します。
ちなみにグリムウッドの最終決戦の相手は元吸血鬼のハンター、ハンニバル。劇中でのブレイドとの絡みといえば、一方的にボコられるだけ!
とはいえ、ハンニバル戦中、リングでは確実にお目にかかれないであろう「パワースラム(※)」を炸裂させているのは、レスラー出演映画として高めの評価点に繋がります。
また、DVD吹替版ではグリムウッドの声を蝶野正洋が務めており、レスラーがレスラーに声を当てるプロレス競演が実現しているのも特徴。滑舌がガッデムなアイムチョーノさんの吹替に苦笑いを噛み締めるハメになるでしょう。
(文/シングウヤスアキ)
※相手を上下逆さに抱え、助走をつけてマット(地面)に倒れこむ技。しかもトリプルHが劇中で見せたものは、倒れこむ前に壁にぶつけるという、全日本プロレスで活躍した"殺人医師"ことスティーブ・ウィリアムスの「オクラホマ・スタンピード」型。