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プロレス×映画

筋肉至上主義の絵になるショッパさがプロレスにも相通じる『ペイン&ゲイン 市場最低の一攫千金』

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 筋トレ好きはそのストイックさ故に世間ズレしてる、というイメージがあるかと思いますが、プロレス界でもマッスル系ギミックはどこかアホな風味をまとっています。
 そこで今回のお題は、筋トレ好きはやっぱりアホなのかも的実話をベースにした『ペイン&ゲイン 市場最低の一攫千金』(2012)。
 主演はハンサムゴリラことマーク・ウォールバーグ。相棒役には本コラムお馴染みの"ロック様"ことドウェイン・ジョンソン(WWEでの現役復帰時期と重なっているため役作り以上にマッチョ)というマッスルキャスティング。

 話の舞台は90年代半ばのマイアミ。詐欺で前科がついたダニエル(M・ウォールバーグ)はトレーニングジムに再就職し、無駄にポジティブな思考と行動力で"筋肉の聖地"作りに邁進。しかし、自意識過剰なダニエルは、こんなんじゃ物足りない!と、TVCMでみた中国人実業家(怪しいアジア人ならお任せのケン・チョン)の講座を受講します。そこで聞いた話を都合よく解釈し、人生一発逆転......とりあえず色々支払い滞納してるからと、資産家拉致監禁計画を発案。
 そして、オモシロ黒人エイドリアンと元麻薬中毒クリスチャンのポールという筋肉仲間2人を引き入れて実行へ移すのですが......。
 
 NYからマイアミに移住してきたロック様演じるポールは、ダニエル同様前科者。しかもやたらとカッとなり易いため仕事が長続きしません。でも筋肉は鍛えないとね、てな流れからダニエルに声を掛けられて仲間入り。しかし無駄に敬虔なキリスト教徒っぷりが災いし、拉致した実業家の世話係になった際にお茶目なアホっぷりが露呈します。

 WWEにもマッチョスターが時代毎に誕生し、ボディビル王者トニー・アトラスやハルク・ホーガンなどが活躍していますが、トリプルHと"ビッグ・パパパンプス"リック・スタイナー大先生の"筋肉至上主義抗争"のアホさ加減は本作にも相通じます。

 力こぶにキスしてからエルボードロップを落とすなどのマッチョ技などを武器にするリック大先生と、当時ボディビル雑誌の表紙を飾ったトリプルHとの抗争は試合外での筋肉対決が話題になりました。となり、
特にリング上でのポージング対決でスポットライトの中、ポーズを張り合ったシーンは今でも歴史的迷シーンとして挙げられるほどです。

 本作に話を戻せば、中盤から女性の新メンバー(アホ)も加わり、一旦は上手く行くも切れ者調査員登場により、あれやこれやと綻びが出て、取り返しの付かない事態に向かっていくことになります。
 終始「この映画アホしか出てこない!」という感じで中盤でお腹いっぱいになる程ですが、実話系にしては面白いクライムコメディとして仕上がっております。

(文/シングウヤスアキ)

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シングウヤスアキ

会長本人が試合までしちゃうという、本気でバカをやるWWEに魅せられて早十数年。現在「J SPORTS WWE NAVI」ブログ記事を担当中。映画はB級が好物。心の名作はチャック・ノリスの『デルタ・フォース』!

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