タイガーマスクのパチモン事情を思い出す、最初のハリウッド版『GODZILLA』
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二度目のハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』がいよいよ7月25日に公開ということで思い出されるのが、公式なのにパチモン状態で大不評を買った1998年のハリウッド版『GODZILLA』。
当時ヒットメイカーとして注目され始めたローランド・エメリッヒが監督に決まり話題になるも、蓋を開けてみれば肝心のゴジラはまるでイグアナ。日本の関係者、国内外の愛好者から「あれはトカゲ」だのと酷評の嵐になったことでも有名です。
ストーリー的には日本版第1作がベース。南太平洋での海難事故に端を発し、各国から集められた調査チームが類似事故を検証する中、ついにニューヨークにアイツが上陸! だが、人間様の土地はトカゲには渡さないぜ......。
という話を、「CGIを多用したスケールの大きい映像美」というエメリッヒ節で味付けしてるんだけども、なんかゴジラのサイズが小さめなんですね。
なので日本版で見られる圧倒的な破壊描写はなく、ビルの壁を壊したりする程度のショボさ。さらにビルに張り付くシーンでは「NYの摩天楼といいキング○ングかよ!」と思ったら、後半は「卵? エイ○アンかよ!」というヤッツケ感。
ついでに後半はもはやゾンビ映画のノリにもなっており(クライマックスは一応怪獣っぽいけど)、これをゴジラ映画と呼ぶには無理があるのは一目瞭然です。
一方で、思い出されるのがプロレス界のゴジラ"とも言える「タイガーマスク」のパチモン話。ちなみに若い読者のために・・・「タイガーマスク」とは同名人気マンガの主役キャラであり、プロレス界においては1981年にアニメタイアップ企画として新日本プロレスで誕生したのが、初代公式タイガーマスク(公式な「タイガーマスク」は五代目まで存在します)。
初代タイガーはその爆発的人気と裏腹に僅か2年で引退しましたが、その名声はアメリカやメキシコにも届いており、明らかに初代タイガーを意識した偽物が生み出され本物のネームバリューにあやかるといったこともあったそうな。
かのWWE(当時WWF)でも故オーエン・ハート(※)を起用したタイガーマスク計画が存在した説がありますが、結局「ブルー・ブレイザー」なる珍妙マスクマンとしてデビューしています。
逆にライバル団体WCWでは、マスクは「初代」デザイン、動きは初代風だけどまるで再現出来てないポンコツ「エル・ガトー」が登場。初代系パチモンの中では本作のイグアナ(ミニ)ゴジラに匹敵する黒歴史感があったようです。
さておき、驚いたことに本作は売り上げ的には悪くなかったそうで、ゴジラ映画として観なければ「エメリッヒ先生のヤッツケバカ映画」として楽しめるかも。貴方に珍作耐性があるならば!
(文/シングウヤスアキ)
※プロレスの名門ハート家でも「天才児」と呼ばれた人物。尚、ブルー・ブレイザーはダサダサの衣装とマスクで人気は出ず。またギミック復活時、会場天井から吊るされて入場した際の落下事故で命を落とすという不幸もあり、悲しきギミックとなってしまっています。