車がメーンイベンターでキャストがコメディ要員な『ミニミニ大作戦』
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プロレスのよくあるネタとして「軍団抗争」があります。日本では90年代から2000年代に掛けてインディ団体が異常増殖したことから「団体対抗戦」が頻発。国際色豊かな選手を抱える団体では「国別対抗戦」がこれみよがしに行われていたのを記憶しています。
今回のお題『ミニミニ大作戦』(1969/オリジナル版)は、プロ犯罪集団と守る側の強奪攻防戦をテーマにしたケイパー(Caper)モノ。まさに軍団抗争系のそれですが、さらにいえば、イギリス対イタリアの(すっとぼけ系)国別対抗戦なのであります。
ムショ上がりの天才泥棒チャーリーは、イタリア・トリノでの400万ドルの金塊強奪を計画。フィクサーから資金を得て、各方面の専門家を加えた英国チームを結成し、いざイタリアへ!
それを察知したイタリアのマフィアによって手鼻をくじかれるも、英国チームはそんなことで引き下がるハズもなく......てな具合で、英伊による金塊攻防戦が始まります。
プロレスでの国別対抗戦というと、ブレット・ハート率いる「ハート・ファウンデーション」(ほぼカナダ出身者)と、ショーン・マイケルズ率いる「ディジェネレーションX(DX)」(アメリカ代表)がWWEで行った、加米抗争が思い出されます。
元々DXはヒールでしたが、DQNキャラでファン人気が高く、アメリカ人構成でもあったためベビーフェイス扱いに。逆に正論でそのやり方に苦言を呈したハート軍がヒールとして扱われています。
ちなみに『ミニミニ大作戦』では、「英国窃盗団がベビーで、イタリアの警察がヒール」という構図が成り立ちます。
ただ、本作の場合は車が主役といっても過言ではなく、キャスト陣はほぼコメディ要員なんだけども!
特に、主役たる赤青白の3台のミニと、イタリア警察車両のアルファロメオ(ジョバー)によるメーン戦は、本作人気の大きな理由のひとつ。なかでも街頭や建物の屋根、筒状の水路トンネルを走り抜ける、曲芸的なミニのカー・アクションはお見事。
ギミックレスラー同士が最高のパフォーマンスを見せた試合と表現したくなる出来栄えでした。
筆者はリメイク版を先に観たクチですが、そこで終わるんかい!みたいなオチを含めて珍作スレスレの本作の方がお好みです。
(文/シングウヤスアキ)