プロレスラー出演映画シリーズ:『エネミー・ライン3 激戦コロンビア』
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『エネミー・ライン』(2001)といえば、紛争地帯で撃墜された米海軍パイロットが執拗な追跡者を振り切り、間一髪の脱出を遂げる内容で日本でもヒットした戦争アクションの佳作。
北朝鮮を舞台にした2作目でズッコケたものの、WWEの映画会社「WWE Studios」が共同製作に名乗りをあげて製作したのが、今回ご紹介する『エネミー・ライン3 激戦コロンビア』(2009)です。
2009年当時、WWEの期待の若手スターだった「Mr.ケネディ(現在はMr.アンダーソン名義でTNAに所属)」が主人公の補佐役兼悪友として出演した本作。『エネミー・ライン』をご存知ならこの説明に違和感を覚えた方も多いでしょう。そう、シリーズの肝ともいえる「主人公が敵地で孤独な闘いを強いられる」設定はもう存在しません。
本作は、偵察目的でコロンビアに送り込まれた米海軍特殊部隊ネイビー・シールズの潜入チームが罠に陥れられ隊員を数名失いつつも、生き残った隊員が怒りの報復無双におよぶ、という、ありがち部隊アクション映画でございます!
主役の小隊長ショーンを演じるのは、ジョー・マンガニエロ。『トゥルー・ブラッド』などTVがメインの俳優さんですが、元々かなりコアなプロレスファンであることや本作主演の縁もあってか、2014年3月に『サボタージュ』のプロモーションとして主演のシュワちゃんと共にWWEの看板番組に登場しています。
そして相棒役のカーターを務めるMr.ケネディですが、レスラーとしてはマイクスキルが達者な選手なためか、リアルに陸軍経験者故なのか、レスラーっぽさはあまり感じられず。格闘時のプロレス技もナシなので、作品的には正解なんだろうけど、プロレスラー出演映画としてはある意味残念なところ。
とはいえ、『プレデター』のジェシー・ベンチュラ(元WWE)よろしく、分隊支援火器(軽機関銃)担当だった点は"レスラーが演じる兵士役のお約束"として合格でしょう。
内容的には潜入チーム5名の内2名が戦死し、1名は捕虜に。しかも作戦中に録画していた映像が悪用されたせいで、コロンビアでの立場が悪くなった米政府は小隊長とMr.ケネディの回収を放棄してもみ消しモードに入る流れ。
しかし、捕虜になっていた仲間もあっさり救出。報復に燃えるシールズトリオが独力で事件の真相に辿り着き......という安心のテンプレ展開なので、途中で寝ても大丈夫!
また、ただのアクション映画と表現しましたが、そこは大手の20世紀フォックス製作だけあって、爆発や銃撃シーンにCGIを使わない火薬量の多さは特筆モノ。
さらに元軍関係者の監修のもとリアルな軍事描写に努めているため、B級ビデオ映画にしてはかなり頑張っているレベルになっています。ミリタリー好きの方なら悪くない時間つぶしになるかもです。
(文/シングウヤスアキ)