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プロレス×映画

プロレスラー出演映画シリーズ:ロック様のギトついた笑いの妙技が味わえる『妖精ファイター』

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 "現代のヒーロー"たるアクション俳優には子供向け映画出演ノルマでもあるのか、シュワルツェネッガー御大の『キンダガートン・コップ』を始めとして、アントニオ・バンデラスの『スパイ・キッズ』シリーズ、ヴィン・ディーゼルの『キャプテン・ウルフ』などなど「なんで出たの...」的アレな作品がチラホラ。

 レスラー出身ながら2013年に最も出演料を稼いだ売れっ子俳優に成長した"ザ・ロック"ことドウェイン・ジョンソンも『ゲットスマート』や『センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』といった子供向け作品に出演していますが、今回は当コラムらしく某トマトな批評サイトで18%の"相当腐ってる"評価を賜った『妖精ファイター』(2010)を「レスラー出演映画シリーズ」としてご紹介しましょう。

 何が妖精かというと、抜けた乳歯を枕の下に置いておくと「歯の妖精」がお金に変えてくれるという西洋の迷信から。次に、ロック様演じる主人公デレクも"氷上の格闘技"ともいわれるアイスホッケーで、相手の歯を吹き飛ばすようなラフプレーから「トゥース・フェアリー」とあだ名される名物選手であり、やがては本当の妖精になっちゃうから!

 アイスホッケーはトップリーグ「NHL」を頂点とした特に北米で人気のスポーツですが、主人公デレクはマイナーリーグの弱小チームで、得点に絡まない"賑やかし"ヒール役に甘んじている元有望選手。
 しかも先の短い現役生活への諦めからチビっ子ファンにまで皮肉まじりの軽口を浴びせた挙句、同僚との賭けポーカーでおけらになるや、恋人の娘の枕の下にあった「妖精さんからの1ドル」をネコババ。恋人に叱られても「妖精を信じるなんてアホ」と開き直る始末。
 ところが、そんなデレクに妖精界からまさかの召喚状が届き、罰として"歯の妖精"の職務を命じられちゃう流れ。

 マッチョなロック様が羽の生えた妖精に変身したら面白いやろドヤ! という思惑が腐敗評価に繋がったことは想像に難くありませんが、それ以上にロック様のギットギトの笑いを味わえるのが本作。
 小気味良いお下劣な言葉遣い(さすがに子供向け映画なので性的な台詞はナシ)や、常に上から目線で人を小馬鹿にした煽り体質などWWE全盛期時代のノリそのまんまなので、その"ロック様の笑いの妙技"を知らないと、置いてきぼりを食らう可能性が無きにしもあらずです。

 それはそれとして、デレクは妖精仕事に振り回されながらも、妖精界の人々や、恋人の息子や娘と心を通じ合わせることで徐々に心根を入れ替え、可能性を信じる気持ちを思い出し、ホッケー選手としても再起していきます。

 実は本作のオリジナル脚本は90年代初頭のシュワ御大向けに書かれたものだったそうですが、いわれてみれば前半30分だけで先の展開が9割読めるこの感じはシュワ作品的。もしこれがシュワ御大だったら...と想像しつつ観ると、コールタールのようにギトついた笑いのセンスを持つロック様で良かった気がする筆者でした。

(文/シングウヤスアキ)

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シングウヤスアキ

会長本人が試合までしちゃうという、本気でバカをやるWWEに魅せられて早十数年。現在「J SPORTS WWE NAVI」ブログ記事を担当中。映画はB級が好物。心の名作はチャック・ノリスの『デルタ・フォース』!

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