露出度が高すぎると実はエロくない法則を教えてくれる詐欺的珍作『ゴールドパピヨン』
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エロ要素で男を釣りに来る「セクスプロイテーション映画」。直球なポルノ映画以外にも、エロ要素が売りのアクション作品もこの範疇に入ります。
プロレスも男性中心の団体となると女性陣はエロス担当になるワケで、WWEでも視聴レートをファミリー向けに下げる前はディーバ(女性レスラー)による下着マッチやらグレイビーソースまみれのキャットファイトなんかを平然と行なっていたものでした。
そこで今回のお題にするのは『ゴールドパピヨン』(1984)。原作は、美女が悪党の手に落ち、あられもない姿で拘束されたり、助けられたと思ったら、救出者も一緒に捕まってエロ拷問されちゃうSMボンデージコミックだとか。しかも、あの官能映画『エマニエル夫人』(1974)の監督の作品と聞けば、期待しない方が無理というもの。やはり公開当初はリビドー溢れる当時のメンズの間で注目された模様。
ところが『エマニエル夫人』的なネットリとしたSMエロ映画を予想してたら、女囚・アマゾネス物に類する謎のエロティックC級冒険活劇だったというのが本作。
行方不明の父を探しにメイドのベスと共にとある港町を訪れたグウェンドリンが、イケメン船乗りを父探しの旅の用心棒として雇い入れ、手がかりとなる「ヤキヤク」なる土地を目指すも、その過程で父の死亡が明らかに。希少な蝶の収集家だった父の意志を継いで冒険を続ける中、幾多の困難に見まわれ、再び囚われの身に・・・という流れで進みますが、早速悪漢に捕まるグウェンちゃんをイケメン船乗りが救出する冒頭シーンから珍作臭が立ち込めます。
香港映画風オフビートサウンドに乗せて、やけにカクカクした殺陣でドヤ顔をキメるイケメンという初っ端から耐え難いこの脱力感。
プロレスで喩えると、ベテラン・ジョバー(やられ役)の見事過ぎる受けスキルのせいで、売り出し中の新人の攻め下手加減がモロに出てしまう、そんな感じです。
開始40分にしてついにオッパイシーンを迎えるも、謎の原住民にとっ捕まるインディ・ジョーンズ風冒険活劇の劣化版(※)のような既視感を覚える展開に張りの無い笑みを抑えることが出来ません。
とはいえ、ここを耐えれば、言葉攻めの珍妙エロシーンを経て、砂漠の地底都市での露出度120%増し紐パン・アマゾネス・子作り権争奪戦に突入(イケメンもケツ丸出し)です!
ただまあ、モロ見えだと意外とエロさは感じないもの。WWEで行われていた下着マッチも実際それほどエロいもんでもなく、その当時のディーバは普段から露出度が高い衣装だったため、ちょっと布面積が減ったかな、くらいなものでした。
さて、なんやかんやで最終的にグウェンは変態女王様観戦のもと、愛しのイケメンと子作り性交渉となるのですが、マントですっぽり覆い隠した状態で若干オッパイがチラつく程度というソフトな表現。「フランス映画のくせに勿体つけやがって!」と吐き捨てたくなる珍作でした。
(文/シングウヤスアキ)
※アメリカ版のポスターはモロに冒険活劇風で、エロシーンを大幅にカットしたバージョンで公開されたそうです。