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プロレス×映画

レスラー出演映画シリーズ:ジャケット詐欺極まる超珍作『奪還 DAKKAN』

奪還 DAKKANーアルカトラズー [Blu-ray]
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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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 今回ご紹介するのは「プロレスラー出演映画」の中でも群を抜く、目眩がするほどのB級、むしろC級、いやD級でも生ぬるい、超E級といっても過言ではない作品。その名は『奪還 DAKKAN(原題:Wrong Side of Town)』(2010)。セガール大先生の作品に似たタイトルのものがあるので要注意ですが、間違えた方が色々な意味で正解かもしれません。

 本作DVDジャケットには、WWEのバティスタとして知られるデイヴ・バウティスタが大写しになり、同じくECW、WCW、WWEで名を馳せたロブ・ヴァン・ダム(以下、RVD)が右隅に小さく登場しているんですが、実は主役はRVDの方で、バティさんは助っ人役というありがちなジャケット詐欺!

 ジャケットもヒドイが、ストーリーもヒドイ。
 越してきたばかりの隣人の誘いで、怪しいクラブを訪れた退役軍人ボビー(RVD)夫婦。ところが、嫁がヤク中のDQNな輩にVIPルームに連れ込まれレロレロされそうに。ボビーは間一髪、嫁を救出するも、DQN自身が持ち出したナイフで死亡させてしまう(一応、正当防衛に)。
 しかし、DQNの兄で麻薬組織のボスは復讐のため、ボビーを賞金首に懸け、街のギャングたちを使った捕獲作戦を開始。窮地に陥ったボビーは軍時代の旧友B.R.(バティスタ)に助けを求め、拉致された最愛の娘を『奪還』すべく、かつての戦闘服に身を包み決着に臨む・・・というもの。

 初対面の隣人の誘いで犯罪臭ムンムンのクラブに入る時点でアレなんですが、それより何よりヤク中のDQNが襲おうとしたボビー嫁の容姿が、もうなんというか"エレクト"しないのです。配役決めた奴に土下座の謝罪を要求したくなる、そんなレベルです。
 さらにバティさんが出て来るのは中盤になってからで、その後もピンポイントでしか登場しないという、絵に描いたようなジャケット詐欺!

 これでアクション・シーンがちゃんとしていれば溜飲も下がるというものですが、勿論、そんなことはございません。

 元々ドタバタしたレスリングスタイルのRVDですから、キレのないアクションなんてのは、スティーブ・オースチンの例を出すまでもなく想定内でしたが、本作はストーリー上、脚を怪我した状態というハンデも加わり、キレの悪さに拍車が掛かるという救い難い負のスパイラルに陥り、観てるこっちが青息吐息!

 おまけに筋骨隆々が売りのバティさんも、その肉体を武器に大暴れするんだろうと思っていたら、その巨体に似つかわしくない小振りのサブマシンガンをちまちま撃ったり、やっと格闘シーンが来たと思ったら、まるでベビーフェイスにやられるヒール的なヤラレっぷりで、しかも一旦取り逃すという体たらく(ナイフを使った攻防におけるパタパタ合戦だけは必見。無論、悪い意味で)。

 とまあ、あとは娘を助けてボスも倒して、最後にバティさんがWWE時代のネタに絡めた攻撃法(鉄パイプ)でオイシイところを戴いてハッピーエンドなんですが、正味85分という比較的短い上映時間がせめてもの救い。
 ちなみに序盤のガソリンスタンドのシーンでRVD一行を襲うギャング団の中に、ビッグ・ダディ・Vなどの名前で知られるネイソン・フレイジャーJr.も一瞬だけ登場。RVDにやられるだけの出オチキャラ扱いですけども。

 さて、主演のRVDの近況ですが、最近まで所属していたTNAとの契約が切れ、再契約するのか、WWEに復帰するのかその去就が注目されているところ。
 バティスタ兄貴の方は、WWE離脱当初は本作のようなビデオスルー作品出演に留まっていましたが、北米で今年公開予定の『リディック』新作や、つい最近は第二の『アベンジャーズ』として期待を集める、マーベルコミック原作『Guardians of the Galaxy』の主要キャスト「Drax the Destroyer」役を射止めるなど、いよいよ大手配給作品に進出。アクション俳優として飛躍の年を迎えた模様です。

(文/シングウヤスアキ)

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シングウヤスアキ

会長本人が試合までしちゃうという、本気でバカをやるWWEに魅せられて早十数年。現在「J SPORTS WWE NAVI」ブログ記事を担当中。映画はB級が好物。心の名作はチャック・ノリスの『デルタ・フォース』!

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