正統続編だと思ったら"ギルバーグ"だった「バタリアン」!
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何かが流行れば似たモノが生まれるのは世の必定。堂々とパクっておいて逆に本家を訴えるアジア周辺事情がモヤモヤと脳裏に浮かんできますが、故にネームバリューが商売になるのもまた事実。プロレスでも漫画キャラの実写化ギミック(キャラ)の代表例として「タイガーマスク」が有名で、五代目まで存在する優良コンテンツです。
しかし、例え使用許諾を得ていても、本家・原作と何かが違ってしまうもの。30代以上の方には強烈な記憶が残っているであろう『バタリアン(1985年公開)』も実はそんな作品。
『Return of the Living Dead』の原題通り「ジョージ・A・ロメロの『Night of the Living Dead(1968年公開)』が現実に起きたことだった...その恐怖が今ここに蘇る!」という、続編ぽいけど"何かが違う"(独自要素はゾンビ化物質「トライオキシン」とその物質漬けのゾンビを収めた「ドラム缶」)。
というのも本作のゾンビは「脳みそぉぉ」など普通に言葉を話しちゃったり、すんなり道具を使っちゃったりと「本家を皮肉って面白くしちゃうぜ!」という軽いノリでロメロ版ゾンビ(遅い・唸るだけ・カニバリズム)の畏怖や様式美をブチ壊した、意図的なパロディ作品。
プロレス的にいえば、かつて一世を風靡した"無敵の男"ビル・ゴールドバーグに対抗してWWEが放った便乗ギミック「ギルバーグ」の悪ノリ感(本物とは真逆のブヨついた体型やショボイ入場演出等)。また「タールマン」や「オバンバ」といった要所で登場する"スターゾンビ"の存在もプロレス的です。
にしたってこの内容。案の定、『Night of the Living Dead』の監督・原案であるロメロ側と同作脚本家で本作原案・脚本ジョン・ルッソ側による裁判沙汰に。本家が勝ったんでしょと思ったら、何と本作側に有利な判決だったそうな。
こうして野放しになった"分家"『バタリアン(Return of the Living Dead)』シリーズは、幸か不幸か2012年現在で5作目まで存在。
『2』は完全にホラーコメディとなり、悪ノリの度合いを増したゾンビが大集合(終盤のスリラーなMJ風ゾンビがまあお寒い)。WWEで抗争中の相手をミゼットレスラーを使ってモノマネさせてるようなブラック過ぎるアノ感じ。
『3(バタリアン・リターンズ)』は1と2のノリを期待すると肩すかしを食らう、まさかの純愛ホラー(勿論B級)。プロレス的にはええとそうです、あれです、初代と二代目が築いたヒーロー像を捨てた「三代目タイガーマスク」的存在。
2004年復活の『4』はリア充ティーンエイジャー達がゾンビ研究を行う企業に拉致られた仲間を救出するという筋書きですが、やたらめったら銃をぶっ放したり、ゾンビ強化兵とか出て来たり...って『バイオハザード』?
『4』で生き残った主人公達が大学生となった『5』では、DQN仲間が例のドラム缶の液体でドラッグを大量生産。レイヴパーティーでゾンビ大発生!ドラッグ回収のためポンコツエージェントも参戦など、全体的にコメディ路線に回帰。
『4』&『5』はプロレスでいうと、数年前のWWEでミミズ食い&食わせネタという飛び道具を携えて怪奇派デビューしたけど、気付いたらお笑い担当になってた「ブギーマン」か。
余談ですが、本家『Night of the Living Dead』は著作権が存在しないパブリックドメインとされているせいか本作以外にも『~of the Living Dead』が大増殖。プロレス界の「ストロング・マシン」並のパクられタイトルとなっております!
(文/シングウヤスアキ)